本と旅とそれから 昭和の犬/姫野カオルコ

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昭和の犬/姫野カオルコ

「姫野カオルコ」なんちゅー名前はふざけとる!…などと、どういうわけか思い込み、これまで1冊も読んだことのなかったこの方の本。

タイトルが普通だったので手に取った――んだったかしら、すでにしてよく覚えていませんが、読んでみたら、ちょっと小川洋子さんみたいな雰囲気の、ちゃんとした物語でした。
昭和の犬
昭和の犬/姫野カオルコ(幻冬舎文庫)

といっても、なんかこう、テーマがぼんやりしているような気が。

イクという名の主人公の少女が昭和から平成にかけて生きていく様子を綴っていますが、まあこのイクがぼんやりしたキャラクターで。
むしろ興味深いのは、彼女の両親、そしてこうした両親の下ではこのイクのような人物が育つのだな、というようなこと。

さてこのイクの両親というのが、独特――というか、奇妙なのです。
父親は大正生まれで、出征してシベリア抑留を経験して復員して来るのですが、その過酷な経験のせいか、家では何かというと「割れる」父親です。この「割れる」という表現が物語では何度も使われますが、「爆発する」とか「切れる」という意味。
小学生でお化粧もしたことのないイクをつかまえて、アイシャドウをするとはけしからん、と怒り狂ったり、大学に進学して上京するイクに「大学の寮に入るような女子学生は卑しい」と根拠もなく決めつけて寮に入らせなかったり。とにかく、この父親は理不尽。

そして母親。こんな夫に長年連れ添うことができたのは、こんな奇妙な性格の持ち主なればこそか、と思わせる、わけのわからない人物。
悪気なく、ほかの人(自分の娘を含む)を傷つける発言をしたりもします。

こんな両親の一人っ子として育ったため、「困った時に親に頼る」というようなことさえ、そんなことをする子供がいると知ってイクは驚く始末なのです。

そんな彼女が、子供の頃何匹かの犬を飼い、親との間には得られなかった家族としての結びつきのようなものを犬に対して抱き、長じてからは自分で犬を飼うことはできないながら、身の回りで見かける犬たちを大切にします。これがタイトル。
やっぱりこれは、奇妙な両親を持ったがために生まれた家庭の穴を、一部なりとも犬が埋め合わせたということなのでしょうかね~…。

このイクという主人公がいまひとつはっきりしないキャラクターだったこともあり、物語に引き込まれるというわけにはいかないのですが、何となく不思議な雰囲気の物語で、興味をひかれました。
本書は、姫野カオルコさんの直木賞受賞作。他の作品ももう少し読んでみたいと思います。


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  1. 2017/03/24(金) 22:00:03|
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