本と旅とそれから 昨夜のカレー、明日のパン/木皿泉

本と旅とそれから

昨夜のカレー、明日のパン/木皿泉

初めての作家さんで、とても面白い1冊だったので、嬉しい♪
それにしても、この木皿泉というのは、共に脚本家のご夫婦二人のペンネームなのだとか。二人の人間の共作というとエラリー・クイーンぐらいしか浮かびませんが(あれは従兄弟でしたっけ?)、どんなふうに創作しているのか、ホントに不思議。
本書は短編集の形ですが、登場人物が共通の同じ世界に展開する物語なので、ひとつの長編(あまり厚い本でもありませんが)のようでもあります。
昨夜のカレー、明日のパン

昨夜のカレー、明日のパン/木皿泉(河出文庫)

結婚して2年で夫を病に亡くしたテツコが、夫の死後もその父・つまりギフ(ニックネームのようにそう呼ばれています)との暮らしを続け、その義父や親戚や隣人、そして彼女に思いを寄せる同僚たちと日々を過ごしながら、何を思い、何を感じていくのか、そんな話がさらさらと並んでいます。

――なんか、よかったです。軽い短編ばかりで、あっという間に読めてしまう1冊なのですが、物足りないという感覚もあまりありません。

ギフの職業が気象予報士ということもあってか、どの物語にも風や雨や雪や雲といった自然の存在がほのかに感じられるようです。
こんなふうに、季節の風を感じながら、愛する人を失った悲しさとか辛さを、ゆっくりと癒していけたらいいなあ。

テツコが夫・一樹を失っているのと同じく、ギフもまた妻、つまり一樹の母を病に亡くしています。短編の中には生前の一樹の物語もあるのですが、一樹は母を失ったその経験を、心の大きな痛みとして抱えながら生きていた人でもありました。その彼が同じように病を得て、妻と父はその死に懸命に耐える。

この短編集は、この二人の死を中心に紡ぎ出された物語とも言えるでしょうか。
でも、漂っているのは、苦しい苦しいという空気ではなく、きらきらと輝くような悲しさ、寂しさなのでした。

ぜひまた、木皿泉さん、読んでみることにします。


webcitron01.gif


My Favorite Books(お気に入りの本のブクログ)
BOOKS INDEX(作家別感想文一覧)

関連記事
tag: 木皿泉 
  1. 2017/07/12(水) 22:00:04|
  2. 2017
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

トラックバック

トラックバック URL
http://lazymiki.blog110.fc2.com/tb.php/1962-25e25100
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する