本と旅とそれから ポプラの秋/湯本香樹実

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ポプラの秋/湯本香樹実

「『夏の庭』(感想文は►コチラ)の著者による、あたたかな再生の物語」と、文庫版裏表紙の紹介文に。夏の次の秋だから、続編的な性格のお話なのかと思いましたが、特にそういう感じではありませんでした。

それに、「再生」の物語なのかというと、別にそう感じられたわけでも――。
ポプラの秋

ポプラの秋/湯本香樹実(新潮文庫)

でも、「あたたかな」物語であるということには同感です。
物語の中には、この世を去った人は「あの世」に存在する、ということが、言わずもがなの前提としてあります。だから、「私が死ぬ時に届けてあげるから、手紙を書けば預かるよ」ということになる。

本書は、幼い頃に突然父を失った主人公の少女・千秋の一人称で語られる物語。
父の死後、母と二人で住むことになったアパートの、一階に住む大家さんのおばあさんが、千秋にそう言って手紙を書くことを勧めます。おばあさんが言うには、そうして人々から預かった手紙で箪笥の引き出しが満杯になったとき、自分はあの世に行くのだとか。

突然父を失った少女の心の危うさ、突然夫を失った少女の母。そして、自分自身の物語を抱えつつ、人々からあの世に住む人々への手紙を預かるおばあさん。同じアパートに暮らす人々。

淡々としていながら、空気がきらめくような雰囲気をたたえた物語。
同じような、「庭に大きなきのある家」を舞台としており、やはり世を去った人の存在を心にとどめた人々の物語ということで、最近読んだ木皿泉さんの「昨夜のカレー、明日のパン(感想文は►コチラ)」ととてもよく似た空気感のお話でした。

手紙が本当に届くとは、やっぱり信じられないけれど、なのに、それでも手紙を書かずにはいられない、人間というのは、弱くもあり、哀れでもあり、愛すべき存在でもあるのだな、と思わされます。
そういうところが、人間の限界でもあり、人間はそれが限界でよい、という気がしました。


webcitron01.gif


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