本と旅とそれから 京の縁結び 縁見屋の娘/三好昌子

本と旅とそれから

京の縁結び 縁見屋の娘/三好昌子

「このミス」大賞の優秀賞、つまり次点に選ばれたという本書ですが、だからというより京都が舞台の小説だから借りました。でもどうやら人気作らしく、予約して結構待ちました。
ところが待っているうちにほとんどそのことを忘れてしまい、「予約の本が準備できました」の連絡をもらった時には、「えーっと?何か京都の観光関連の本だったっけ?」とか思うトボケっぷりでした。
縁見屋の娘
京の縁結び 縁見屋の娘/三好昌子

本書がデビュー作ということなのですが、をを!って感じで面白かった。
京都嵯峨芸術大学で洋画を専攻されたという著者・三好さん。きっと京都を深~く愛しておられるに違いない、ということが作品からにじみ出ます。
それにしても、同じ「京都の天狗」でも、本書に登場する「天狗」と「有頂天家族」の赤玉先生を比べると、ここまで違うかとしみじみします(≧∇≦)。

舞台は江戸時代の京都。主人公・お輪は縁見屋という口入屋の一人娘ですが、彼女の母は二十六歳の若さで亡くなっています。縁見屋の娘には「男児を産むことはなく、若死にする」という呪いがかけられているといわれ、事実、お輪の母だけでなく、代々縁見屋は娘が婿をとって継いでおり、その娘たちは二十六の年に命を落としているのでした。

そんな縁見屋にある日、愛宕山の寺から来たという修験者・帰燕が現れます。彼は、縁見屋の初代が建てた火伏堂の堂守を務めることになるのですが、これが謎の多い人物なのです。

この呪いがどこから来るものなのか、帰燕は何者なのか、という謎があるから「このミス」優秀賞なのだとは思いますが、ミステリーとしてというよりは、様々な要素を備えた時代物として大変面白い物語です。
人物描写は特に思い入れを抱くほどでもありませんが、呪いを絡めたちょっと怖い物語展開がとても引き込まれます。

天明の大火をはじめ、京都を襲った大規模火災が物語の重要な要素として取り入れられているのも、京都好きには興味深いところ。
太郎焼亡の「太郎」は愛宕山に住む天狗の頭領の名前を取ったものだそうです。あの大火は天狗が起こしたのだという噂があってその名が付いたのですって。でも本当は、天狗は火災から人々を守ってくれる存在なのだとか。

物語に登場する「天狗」は、凛々しく、切ないキャラです。赤玉先生とは別生物ですね。
どれとは名前は浮かびませんが、本書のようなどこか切ない恋物語は、時々目にするように思うのでした。ちょうど、十月の始めになると漂ってくる金木犀の香りのように、美しいけど何となく悲しい。そして香ってくると何ともいえず嬉しい。
そういう雰囲気をたたえた物語でした。

あ、それにしても本書、文庫本ですが、表紙をもうちょっと何とかして欲しい。漫画調の装丁ですが、軽すぎるイメージ。「京の縁結び」っていう副題も、いかにもそれで私のような京都ファンの目をひこうという意図が透けて見えてイヤ。「このミス」大賞優秀賞というだけで十分だと思うのですが。
ひと頃、漫画家などを本の装丁に多様する傾向がありましたけど、最近は少し減ってきたような。若者にはよいかも知れませんが、年がいってくると、あんまり軽くて派手な装丁だと、それだけで手を伸ばすのにちょっと躊躇すると思うんですけど。
本書のような物語なら、もっとしっとりした装丁が似合うのではないでしょうか。


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