本と旅とそれから 「花戦さ」

本と旅とそれから

「花戦さ」

花戦さ


自分は野村萬斎さんのファンなのか、と考えると、必ずしもそうだとは言えないように思うのですが――実際、萬斎さんのお能を見に行ったことはないし、行こうと思ったこともそういえばないし――でも、萬斎さんの映画は、何となく気になります。
それともうひとつこの映画を見に行こうと思った理由が、池坊専好を主人公に据えた話だったから。
池坊専好だなんて、京都検定(ここのところは、試験日に仕事が入るので受けられないのですが、それが幸いな言い訳になっているような気もするのです)の勉強をしていなければ知りもしなかっただろうと思う人物でした――私には。
あ、でも、池坊で生け花をされる方ならご存じなのかな。次代家元が四代目池坊専好だそうですものね。しかも、初の女性家元なのだとか。


花戦さ


萬斎さんって、何を演じても、形は変わっても、常に天才になってしまうような気がします。
凡人を演じるには、どこか鋭いものがあってダメなのかしら。

今回の専好も、いくつになっても子供のような、見るからに「この人は大阿呆か天才だ」って感じの人物になっています。で、もちろん天才の方。
花とその力と、人の命を大切にする、花を扱わせたら天才、という人物。

彼と千利休との交わり、そしてそこに影を落とす太閤秀吉、この人間関係が描かれます。


花戦さ


池坊専好と千利休って、本当に親交があったのかしら。そこのところはわかりませんが…。
物語では、織田信長に呼ばれて専好が花(というか、松)を活けた際、そこにたまたま利休もいて、それが縁で後に利休が専好を茶に招く、ということになっています。

この茶室での二人のシーンがいい感じでした。
専好はその頃、池坊のいわゆる家元(執行…しぎょうさん、と言っていたように思うのですが)の座を継承して間もなくて、そもそも花とそれを活けることを愛する以外に気が向かないような人間なのに、家元としての責任をあれこれ背負わされて、居心地が悪く、気に病んでいたのですね。

だもので、利休の作り出す茶の湯の世界の心地よさについホロリと、「わたし、執行さん向いてないと思うんですよ」と、涙をこぼしてしまう。これには利休もちょっと驚いて、「泣かなくてもいいから、ほらほら」って感じで、まるで弟か何かを慰めるみたいに、「もう一杯お茶、立てようか?飲む?」ってなるのです。京都弁で。


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佐藤浩市さん演じる千利休は少しガードの固い人物のようですが、専好のあまりの天衣無縫っぷりに、ぐいっと引っ張り込まれてしまうようでした。
それで二人は仲良しに。
茶道と華道の違いはあっても、一流の人間はお互い――っていうほどエラそうではないんですよね。なんか、ただただ気が合った、みたいに見えた二人でした。

そしてここでも描かれた、「秀吉と利休」。
いろいろな俳優さんが利休を演じておられますが、佐藤浩市さんみたいな、がっちりした体格の人だったようですね、利休って。秀吉は猿之助さん。

千利休を描くときの映像って、いつもすごく力が入っている気がします――撮る人の。
以前、NHK大河ドラマの「秀吉(竹中直人さん主演の)」で、仲代達矢さんが利休を演じられたとき、利休が庭を小走りに進んで行くと、その後に、山茶花だか何か、白い花がさーっと散る、というシーンがあって、すごく印象に残っています。あれも、撮る人の力の入れ様がハンパじゃないなと感じました。
今回も、茶室のシーンをはじめ、露地、庭など、利休が映るときの映像が綺麗でした。

あと、蓮の花が開くときに、「ポン!」というのがクスっとさせられました。
それがきっかけで、閉ざされていた少女の心が開くのですが。

エンドクレジットは、さながら池坊関係者の名簿の様相。
まあ、池坊の全面協力で制作されたということですし、大小様々な生け花が出てくるので、総力を挙げて協力したというのはよくわかりますが。


花戦さ


でも、生け花って、大きなものとなると、あんなにすごい「工事」みたいなことまでするのですね。
専好が活けた松を使ったものなのですが、もともとの枝ぶりとは違った形にするために、まるで大工さんみたいに、太い枝を「接ぐ」のです。トンカンたたいてはめたりして。
それですごいのが出来るのですけれど。

大変楽しめました。

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  1. 2017/09/08(金) 22:00:00|
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