本と旅とそれから 夜行/森見登美彦

本と旅とそれから

夜行/森見登美彦

久々の森見作品――かなりの予約待ち数で、ずい分と待ちました。
たいっへん面白かった――というか、すごく怖かった(T_T)。
その怖さ加減がとても巧みで、じわじわっと背筋がひんやりしてくる感じが心地よい怖さでした。
夜行
夜行/森見登美彦(小学館)

物語の構造はかなり複雑。あらすじをさらっと紹介するというのも難しい…。
学生時代の友人グループが、鞍馬の火祭りを一緒に見ようと、久しぶりに京都で再会します。彼らは学生時代にもやはり一緒に火祭りを見に来たことがありましたが、その時に、彼らの一人の女学生が失踪してしまっていました。そんな経験を持つ彼らが、ひとりずつ、不思議な物語を語ります。

それぞれの物語はまったく別個の経験でありながらいくつもの共通要素があり、さらにはひとりの画家の「夜行」という連作銅版画に対応している・・・らしいのです。

このひとつひとつの物語が怖い。
廃屋のような家の、暗い二階へと続く階段。「あなたには死相が出ている」と語る予言者。夜行列車の窓から一瞬だけ見えた火事で燃える家。そして、どの物語にも登場する、おそらくは顔のない女。
あーこわ。

最初は寝る前に読もうとしたのですが、最初の1話を読んだところで、夜はやめようと思いました。あまり怖がらない人ならさほどでもないのかも知れませんが、私には怖かった!別に、夜中に思い出して怖い、というようなことはないと思うけど、読んでいて物語世界に引き込まれると、その暗さ、寒さ、不安、恐怖に包み込まれるような感覚で…。

ただ、物語の一番最後には、暗闇があるのは光があるからだ、というような明るさが感じられて、それで読み手は救われる思いがします。
別に鞍馬の火祭でなくても、鴨川べりのアトリエでなくても物語には関係ないと思いますが、確かに、叡山電鉄の貴船口の駅に、夜ひとり立ったらさぞかし怖くて心細い気持ちがするだろう、とは思いました。京都って市の中心部は夜も明るい都会ですが、ちょっと郊外に行くと、夜は真っ暗ですからね…。

とても引き込まれるけれど、それが怖い物語でした。


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  1. 2017/10/18(水) 22:00:00|
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