本と旅とそれから 黄金の烏、空棺の烏/阿部智里

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黄金の烏、空棺の烏/阿部智里


面白い。シリーズの1、2巻を読んで(►感想文はコチラ)すでに非常に面白いファンタジーだと思いましたが、今回の3、4巻を読むと、さらに面白くなってます。シリーズがあと2冊しかないのが、すでに残念でなりません。

ファンタジーというジャンルは、まったく興味がわかないという人もいるようですし、それどころか拒否反応を示す人もいるようですが、この世とはまったく異なる世界というものを受け入れることができる本読みには、ことさらの楽しみがあります。
八咫烏シリーズ
黄金の烏、空棺の烏/阿部智里
(文藝春秋)


1、2巻で小さな世界として始まった物語が、「敵」の出現で大きく広がります。

そもそもこの物語世界は、人間ではなく、八咫烏(やたがらす)が作り出すもの。八咫烏というのは、人間の姿と三本脚の烏の姿を併せ持つ生き物――十二国記だったら半獣と呼ばれるところですねえ。物語では、「八咫烏」と書いて「にんげん」とルビがふってあったりもします。

そこに、「猿」なる生き物が登場する。
3巻目で、主人公たち二人が辺境の集落を訪れ、そこが猿に襲われて全滅していることを発見する場面は、現実社会の虐殺事件を思い起こさせて背筋がひやりとします。
猿は八咫烏を「食べて」いた。「にんげん」を食物として見ていたのでした。
猿たちはどこからこの世界に侵入したのか。どう立ち向かうのか。

そして4巻目では、八咫烏の王室に当たる「宗家」の近衛隊である山内衆の養成機関である勁草院(けいそういん)が物語の舞台となります。八咫烏の王子である「若宮」と並んでシリーズの主人公である少年・雪哉がこの勁草院に入学し、3年の後に卒業するまでの物語。

この4巻目は、学校を舞台にしたファンタジーの物語形式にある程度はまっているな、と思います。といっても、すぐに思い浮かぶのはハリポタのホグワーツぐらいのものなのですが――今は石ころのように見えても、実は稀有な宝石である主人公、厳しい訓練、培われる友情、意地の悪いライバル、そして主人公を目の敵にする教師。

ただちょっと残念だったのは、この4巻で、2巻目で登場した雪哉が、スーパーマン的な成長を見せること。登場時には、頭も要領もよくいかにも次男坊的なキャラの雪哉が、すでに超人的な存在の若宮に翻弄されて、あたふたしつつも故郷と家族が何よりも大切だという固い信念の下にがむしゃらに頑張る姿が描かれて、その姿に思い入れがわきます。
それが4巻目になると、彼は、若宮に忠誠を尽くすことが結局は故郷と家族を守ることになるのだと確信し、持てる才能をどんどんと開花させていきます。その有能ぶりが、ちと反感を覚えるほど。様々な境遇や屈託を抱えてもがく彼の朋輩たちを、常に下に見ている感じなのですよね。同輩たちどころか、先生や院長までやっつけてしまうところまでくると、ちょっと「誰かコイツをギャフンと言わせてやってよ」と思ってしまう…。
まあ、猿という大きな敵の出現に、才能と見識を持ち合わせる者は、それを十二分に発揮せずにはすまない状況が生まれてしまっているわけですが。

ま、そんなことをあれこれ考える段階ですでに、物語にどっぷり浸っているということなんだけど。

次の巻は予約待ちの人数がちょっと多いので、読めるのは――今年中がギリギリかなぁ。


webcitron01.gif


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tag: 阿部智里 八咫烏シリーズ 
  1. 2017/10/22(日) 22:00:00|
  2. 2017
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