本と旅とそれから 凍りのくじら/辻村深月

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凍りのくじら/辻村深月

初めての作家さんで、すでに名の通った方の作品を読んでそれが「いいな!」と思えると本当に嬉しい。陳腐な表現のようですが、素敵なプレゼントでももらったような気分です。

本書はでも、ただ「この小説が好き」とニコニコしていられる物語ではありませんでした。とても強く共感できる部分があるものの、それが大きな悲しみを伴うシーンだったことが、残念といえば残念に思えます。
凍りのくじら
凍りのくじら/辻村深月(講談社文庫)

本書も、あらすじを説明するのが難しい1冊。
結構分厚い。

主人公は写真家として名声をつかもうとする若い女性、理帆子。彼女が自分の高校時代を振り返る物語です。
ユニークなのは、物語を構成する10章のそれぞれに、ドラえもんの道具の名前がタイトルとして付けられていること。
理帆子とその父はドラえもんとその作者・藤子不二雄氏の大ファンという設定で、物語全体に、物語としてのドラえもんは深く関わっています。
ドラえもんって、今、展覧会もやっているでしょう。内容はまったく知りませんが、何と言うか、ただの少年マンガではないのですね。私も大昔、弟が一部持っていたので結構読みましたし、アニメもそこそこ見ました。映画までは見ていませんが。

さて、主人公理帆子。
彼女の父はプロの写真家でしたが、がん宣告を受けてすぐに失踪してしまいました。おそらくはもう生きてはいないだろうな、と、理帆子は思っています。
そして彼女の母は2年前にやはりがん宣告を受け、余命2年と言い渡されました。つまり、物語時点では、その命の終わりが近づいており、もうずっと入院しています。兄弟姉妹はナシ。
つまり理帆子は、一戸建ての家に、ひとりで暮らしているのでした。

彼女は私立の女子高に通っていて、そこそこ頭もよいし、顔も可愛い。夜、ひとり家にいるのが寂しくて、チャラチャラした仲間たちと、外で飲み会に明け暮れます。それでも、ちゃんと学校に通って、ある程度の成績をキープしているらしいのですね。

単純に言うと、この彼女の日々が綴られています。

母親が長期入院していて、その死が近づいているなんて。
毎日のように、学校帰りに病院に母を見舞う。父親はいないし。
その彼女の、ものすごくプレッシャーのかかった精神状態が、それに毎日耐えている姿が、可哀そうでたまりません。

でも、そんな大きな悲しみに包まれた毎日にありながら、理帆子というのは実はものすごく才能や人間的な魅力に恵まれた少女なのだろうな、と思います。
彼女は冷めた目で自分の周囲と周囲の人々を見ているけれど、実は彼女の周りの人々は、かなり彼女を大切に思っているようですから。

そこに、元カレ転じてストーカー男とか、1年先輩の不思議な少年なども登場し、物語は時にサスペンス、時にファンタジーの雰囲気も持ちながら展開していきます。

近づく母の死を見つめながら生きた2年間。
おそらく、何年か経って振り返ると、悪夢のような、よくあの日々をしのげたものだと思うような時期なのだと思います。
でも、それを越えて、今の彼女がある。
最後に大きな救いが待っている物語でした。


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