本と旅とそれから 本屋さんのダイアナ/柚木麻子

本と旅とそれから

本屋さんのダイアナ/柚木麻子

あーー、今、感想文を書こうとして念のため自分のブログを確認して初めて認識しました。本書の作者、柚木麻子さんて、「ランチのアッコちゃん」(感想文は►コチラ)の方なのですね!
おやまあ。
「本屋さんのダイアナ」
本屋さんのダイアナ/柚木麻子(新潮文庫)

ダイアナ、というのが本書の主人公。といっても、ダイアナというのは敢えてカタカナ表記しているからそうなので、話の舞台は日本で、登場人物はすべて日本人で、名前の方も本当は漢字で「大穴」。それでダイアナと読ませるという…。

昨今はキラキラネームなどと呼ばれるものを始め、自分の子供に不可思議な名前をつける親が多いとか。それにしても、娘に、女の子に「大穴」って^^;。

主人公の少女も、小さな頃からこの名前に苦労させられ、15歳になってその権利ができたら、お役所に申し立てて名前を変えよう、と、ずっと思いながら暮らしているのでした。

それにしても、先日読んだばかりの「真夜中のパン屋さん」(感想文は►コチラ)でもそうでしたが、社会通念的には批判を受けることが多いと思われるような母親が、本書にも登場します。母子家庭で、キャバクラのママをしながら娘を育てている。言葉遣いはぞんざいで、自分ばかりかまだ子供の娘の髪も金髪に染めて、何というか、「育ちのよくない」と形容されそうな環境で娘を育て――。

「まよパン」もそうですが、しかし、片親だろうと、水商売だろうと、それが親としていい加減であるということにはならない。子供を愛し、自分なりのやり方で大切に、しっかりと育てている――(まあ、「まよパン」の方は、「育てている」とは言い難いものがありますが)。
昨今の多様化した社会において、二親が揃っていて、子供をしっかり大学まで通わせて、などというよき子育てのステレオタイプはもはや意味を成さないのでしょうか。

物語には、このダイアナの幼い頃の親友として彩子という少女が登場します。
彼女の方はダイアナとは対照的に、二親ともしっかりしていて、絵に描いたような素敵な家庭に生まれ育ちます。愛され、守られ、学びの機会も十分に与えられて育った彼女が、大学に入って初めて遭遇する大きな挫折。しかし彼女はやがてそれも力強く乗り越えてゆく。

ダイアナ、そして彩子という主人公二人の少女のネーミングは、「赤毛のアン」を連想させるためのものなのだとか。「赤毛のアン」ではアンが主人公で、ダイアナはその親友として、波乱の多い主人公アンの、穏やかな親友として存在しますが、本書ではあえてその名前を逆にしてあるのだとか。

それにしても、どんな思いが込められているのだとしても、「大穴」って、ねえ。名前はその人が基本的に、一生背負っていくもの。ことさら変わったもの、目立ったものにするというのは――まあ、名付けられた当人が納得していればよいわけではありますが。
ダイアナの場合、もっとごく普通の名前を与えられていれば、おそらく彼女の人生はかなり違ったものになっていただろうと思うのです。ただまあ、それがより良い人生だったかその逆だったかは知りようもないけれど。

名前が違っていたら。親が違っていたら。まったく違った人生がそこにはあっただろうな、と思いながら、結局人間はひとつの人生しか生きられない、それが不思議に思えたりするのでした。


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  1. 2018/03/11(日) 22:00:00|
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