本と旅とそれから 兎の眼/灰谷健次郎

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兎の眼/灰谷健次郎

以前、朝日新聞の「古都ナビ」というコーナーに「奈良・西大寺の善財童子像」が取り上げられていました。灰谷健次郎の小説「兎の眼」でよく知られています、とあって、小説のその部分が引用されていました。

だから、この春に奈良に行くし、西大寺は交通の便もよいところにあるから時間を見つけて立ち寄れそうだと思い、事前勉強として読んだのでした。
兎の眼

兎の眼/灰谷健次郎(角川文庫)

ですが、旅の途中何度か大和西大寺駅を通ったものの、結局、時間が見つけられませんでした。とっても悔しい~。是非とも次回。

でも、善財童子といえば、安倍文殊院の善財童子の方が有名ですよね。何しろ国宝ですから。割と最近の国宝展(調べてみたら、2014年の東博でした)のポスターにも載っていて、「可愛いわね~」と見ていたあれは、西大寺のではなかったのですが。

まあそれでも、西大寺の童子像も拝観したい。あらためて、次回は西大寺と安倍文殊院と、両方訪れたいものです。

さて、本書は1974年の作品。
恥ずかしながら、私にとって本書は初めての灰谷健次郎作品。作家名も作品名も度々目にしつつ、特に理由もなく読まずにきた小説でした。

とある公立の小学校の新米女性教師を主人公に、彼女とそのクラスの生徒たち、同僚の教師や上司、生徒の親などとの交流、生活の日々を描いています。

本書や「橋のない川」などを読むと、奈良という土地が、決して飛鳥・天平の古都ということばかりに目を引かれるべきところではないのだ、と考えさせられます。古代以来の歴史と文化を持つ土地には、晴れがましい面ばかりでなく、複雑で難しい問題を生み出してきた人間の営みがある。10年かそこら前に山を切り開いて造成された新興住宅地にはない歴史というのは、光もあれば影もある、ということかと。

最近はあまりその存在の主張が強くなくなったようですが、日教組という組織のことを思い出しました。私が小学校に通っていた頃(古代、とはいわないけど、かなり歴史を遡る昔です)、ちょっと先生の間でトラブルがあったりしたことなど、思い出しました。あ、待てよ、それってちょうど「兎の眼」が描かれた頃じゃありませんか…。昭和は遠くなりにけり。

といっても、別に本書に日教組が出てくるわけではなく、以前、なんで先生の組合が共産党寄りになるんだろうと不思議に思ったことがあって、まあ何となく、本書に描かれた先生たちの姿を見ていると、「あー、こうした思考を経由していくとそうなるのかもね」なんてぼんやり感じたものですから。

幸か不幸か本書は「児童書」と位置付けられた作品なので、描かれる世界は過激なものではありません。それでも、今、Wikiをちらりと見てきたら、本書中の表現が問題視されて、灰谷さんが批判されたこともあったとか。いつの時代も、どの世界でも、差別される側は敏感で、する側は鈍感です。

ともあれ、本書は、児童書だから読みやすいということもあったかも知れませんが、一定の主張が強く押し付けられるという感覚も特になく、教訓くさいということもなく、新米社会人の懸命な姿が瑞々しく描かれた小説として楽しむこともできると思います。


webcitron01.gif


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