本と旅とそれから あやかし屋台なごみ亭3/篠宮あすか

本と旅とそれから

あやかし屋台なごみ亭3/篠宮あすか

人気シリーズということで、少々順番待ちをした後、第3巻。
博多の繁華街の片隅で、金曜日の夜だけ営業する屋台を舞台にしたファンタジーです。
あやかし屋台なごみ亭3

あやかし屋台なごみ亭3/篠宮あすか(双葉文庫)

腕利きの料理人・なごみが店主を務めるこの「なごみ亭」の、アルバイト店員・浩平が主人公。ただし、客引きのコンをはじめ、訪れる客の多くが「あやかし」――神さまだったり、天狗だったり、神使やら妖精といった、人ならぬものだったりします。

シリーズも3巻目となると、キャラ設定その他が定着というか、落ち着いてきた感じがします。一番変化したなと思うのが、なごみ。シリーズ冒頭では、浩平に対してずい分と暴力的というか、スパルタな対応だったなごみも、今やどこか老成した、舞台を司るひとつ高い位置に立つ存在として、物語の展開に静かな知恵を提供します。

3巻目の副題は「金曜の夜に神さまは憩う」。ということで、今回は、神という立場ながら、人間とさほど変わらぬ悩みや屈託を抱えた神さま(博多弁で語られるので「神さん」)が屋台を訪れ、想いを語り、なごみの料理に心癒される、という物語が語られます。

特に最後の一編が泣かせます。登場する「神さん」は、エンという名の「かまど神」。屋台・なごみ亭の小さなかまどを守る神さまですが、これが、毛並みふさふさの可愛らしい犬の形をとっていて、性格は幼子のような甘えん坊。可愛いのです。
で、この神さま、最初は、なごみの祖父母夫婦に拾われた子犬としてなごみ亭にやって来ますが、寿命がきて死んでしまい、後に夫婦の想いを受けて神となって屋台を守るようになるのです。

やがて祖母も他界し、現在は、祖父は引退して、孫のなごみが店主を務めている。

で、まあ、このエピソードに流れる「想い」とは、愛犬のエンも、祖父を残して他界した祖母も、今は目に見えなくてもずっとずっと、残された祖父と、なごみ亭のことを見守っているのだから、決して寂しくはないんだよ、という。
・・・いかにも、というストーリーとはいえ、やっぱりホロっとしてしまいます。

自分が年を重ねてくるにつれ、そして同時に社会が高齢化してくるにつれ、このテの物語を目にすることが多くなり、それを読んでうるうるとさせられることが増えているように思います。

そういえば、この本を読み終えた頃、バーブラ・ストライザンドさんが大金を払って愛犬のクローンを作ったということが厳しい批判を浴びている、というニュースを読みました。金持ちならば、愛する生き物(まあ、人間ではなくペットですが)の写しを手に入れることができる、ということが反感を買ったようでした。

反感を買った大きな要素が「金持ち」ということではあるのでしょう。とはいえ、愛する者のクローンを作ることが、愛する者を再び手に入れることになるのか?

そういえば、そのちょっと前には、50年前に生まれたときに病院で取り違えられた人が、自分の本当の親を知りたい、と病院に要求して断られて、というニュースもありました。

親子を親子にするのは、遺伝子なのか、共に過ごした時間なのか。
そしてそれは、取り戻したり、再生したりできるものなのか。

そんなことをあれこれと考えました。

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