本と旅とそれから シャイロックの子供たち/池井戸潤

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シャイロックの子供たち/池井戸潤

ハズレがないので、未読作品を目にすると手が出てしまう池井戸作品。
今回も面白かった。
ただ――。
シャイロックの子供たち
シャイロックの子供たち/池井戸潤(文春文庫)

ちょっと苦しかった――読んでいて。
働くということの大変さ。守り、養っていくべき妻子を抱える父親、という少々昭和の匂いの強い人間像には漏れなく、頑張り、耐える苦労の物語が付いてくる、というところでしょうか。

物語の舞台は、池井戸さんお得意のメガバンク・東京第一銀行。その、長原支店。大田区の、東急池上線のとある駅の目の前の店舗だそうです。
この支店の、何十人かいる行員たちの何人かを短編の主人公とした、短編集的長編という1冊です。

最初の一編が、この支店の副支店長と、反抗的な若手行員の話なんですが、これが読んでいてちょっともやもやした気持ちにさせられました。
上の人間の命令は絶対で、下っ端はただそれに従うだけ。銀行とはそんな職場なのだと、かつて私も銀行員の人に聞いたことがあります。

銀行だけじゃなかったかも知れない。昭和の頃と違って、今はもうそうじゃないのかも知れない。そういえば、その昔は、証券会社は銀行よりさらにスゴいって言ってたような。厳しいノルマ。それを達成できないときのプレッシャー、多くの人の前での叱責、罵倒。

――ああ~!仕事はそりゃ厳しいものでしょうが、それにしても限度というものが。
職場でのいじめやプレッシャーで精神を病んだり自死を選んだりという話は今もちょくちょく聞くではありませんか。

こら、副支店長。やたらと部下を締め付けたり罵倒したりするんじゃない。
どれだけ大声を出しても、出来ないものは出来ないのに。それ以上に締め付けてしまうと、人は狂ってしまったり、犯罪へと道を踏み外してしまったりする。
そんな物語が次々と語られます。

池井戸作品のよいところのひとつは、勧善懲悪が期待できるところだと思います。
今回の短編の中にも、濡れ衣を着せられそうになった女子行員が救われたり、契約が取れずに追い詰められた行員が最後に逆転を果たす物語はあり、ハッピーエンドが楽しめます。

が、本書は、短編集のような形を取りつつ、全体として「消えた100万円」から始まる大きな不正を追求する小説なのです――って、あれ?100万円はどうなったんだったっけ?最終的には100万円どころの話ではなくなるので印象に残ってない^^;。

勧善懲悪にしようにも、池井戸作品によく見られる「巨悪」に当たる存在が、どこにいるのかよくわからない。半沢直樹のときには国税庁とか。下町ロケットでは大企業の保守勢力とか。まあ今回も、舞台となる長原支店の支店長や副支店長あたりが悪者と言えないことはないのかな…。

webcitron01.gif


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