本と旅とそれから 千年樹/荻原浩

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千年樹/荻原浩

ちょっと複雑な作りになっている物語。

まず最初に、ある場所にくすの実が落ちるところから物語は始まります。
藤原道長の時代というから平安時代に、反乱に遭って殺された国司(の幼子)が命を落とした場所に生えたくすの木が、やがて大樹となり、様々な時代の人間の営みを見守る。

いくつかの短編の形をとっていますが、それぞれに過去と現在の物語が対になっています。そしてそのすべてに、くすの木の存在がカギとなっています。
千年樹
千年樹/荻原浩(集英社文庫)

本書の著者荻原浩さんは、「以前、読んだことがあったような」気がしていましたが、今ブログをチェックしてみると、2014年に「砂の王国」(感想文は►コチラ)を読んでいました。あ、ホームレスが詐欺師になる話だったっけ…。

読み応えはあるけれど、読んで心が温かくなるとか、読後感が爽やか、というのとは全然違う物語でしたっけ。
本書も、正直なところ、読んでいて楽しい気分になれるところは少ない小説でした。

冒頭のくすの木の発端にしてからが、むごい仕打ちを受けて苦しい死を迎える一家の様子を描いていて、のっけから読み手はひるみます。「え、(読むの)やめとこうかな?」とチラリと頭をよぎります。まあまだ最初だし、と思って読み進んでゆくと、その後も苦しい話が次から次へと出てきます。
戦時中の空襲に逃げまどう子供、来るはずのない恋人を待ち続ける少女、たった今殺した女が自分の母親だったかも知れないと思う山賊――うぅーむ、なんかこう・・・こういった、心を寒くするような物語を作るのが得意なんじゃなかろうか、この作家さんは^^;。

亡くなった祖母の恋物語を想像する少女の話は、ほのかに心和んだけど…あとはあんまり…。

ただ、昔の人は過酷な境遇に生きた人が多かったのだろうな、なんて思ったり。
もちろん、現代社会にはそれなりのストレスやら何やらあるけれど、食べるに困って子を売ったり、遊郭から望みのない逃避行をする人はいないし、目下のところは空襲を受けて火の海の中を走り回る心配もない。

ただ、平和な社会の中で、いじめとか虐待(の話は本書にはありませんが)など、わざわざ地獄を作り出す人間の愚かさを情けなく思わずにはいられません。
平穏無事。そのありがたさを、つくづくと思いました。

webcitron01.gif


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