本と旅とそれから あんじゅう/宮部みゆき

本と旅とそれから

あんじゅう/宮部みゆき

「おそろし」(感想文は►コチラ)の続編。
先日読んだ「あやかし」(感想文は►コチラ)に収められていた「逃げ水」は、この1冊から取られたものです。
あんじゅう

あんじゅう(三島屋変調百物語事続)/宮部みゆき(角川文庫)

「おそろし」は、物語の「聞き手」を務める「おちか」自身にまつわる物語が全体の核になっていましたが、本書に収められた4編はまったく他人様の身に起きた物語なので、プレッシャーがなく、何となく気軽です。
しかも、本書で語られる物語はいずれも怨霊とか幽霊といった恐ろしいものについてではありません。――では何についてかといえばいろいろなのですが、たとえばタイトルの「あんじゅう=暗獣」についていえば、「人が住まなくなった屋敷が、『誰かに住んでもらいたい』と思う気持ち(?)がまるで生き物のような形をとった妖」とでも。

話の途中では、無人のはずの屋敷に誰かがいるらしい、というちょっと怪談ふうな雰囲気も漂いますが、やがてそれが、何だかよくわからないけれど黒っぽい生き物(?)で、犬猫並みに人になつきもするし、教えてやればわらべ歌など歌ったりもするとわかり、怖いどころか何だか可愛く思えてくるのです。物語に登場する老夫婦はこれに「くろすけ」と名を与えて可愛がるものですから、読み手の方でもますます親しみがわきます。

この「あんじゅう=くろすけ」を巡る一編は、ほろりとさせられるし、多くの物語で扱われているテーマを取り上げたものでもあります――たとえこの先もう二度と会うことができないとしても、愛しい誰かがこの世界のどこかに生きているのだと思うだけで、人は生きていける、といったような。

テーマはさておき、やはり本書一番の魅力は文章力、でしょう・・・って、宮部みゆきさんの本を読んでの感想としては、あまりにも当たり前ですね。著者の筆力ということ。結局のところ、テーマが何でも、読ませてしまうのでしょうねえ。ついでに3作目の予約も入れてしまいました。


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  1. 2019/03/07(木) 22:00:00|
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