本と旅とそれから 6時間後に君は死ぬ/高野和明

本と旅とそれから

6時間後に君は死ぬ/高野和明

「家鳴り」に続いて、本書も短編集。
手に取った理由は、著者の高野和明さんの「ジェノサイド」(感想文は►コチラ)を以前読み、とても面白かったから。恐ろしいテーマではあったものの、迫力のあるぐいぐい読ませる小説だったという記憶がありました。
6時間後に君は死ぬ

6時間後に君は死ぬ/高野和明(講談社文庫)

で、本書も何だかタイトルだけは怖い。というか、あまりにもストレートというか、デリカシーがないというか、タイトルはあまり好きな感じじゃない。
――でも、今回も面白かったし、心に温かさが残る1冊でした。

短編集ではありますが、1冊(5作)を通じて、ひとりの青年が関わっています。圭史という、未来の光景が見えるという青年。本書のタイトルは、最初の短編で、主人公の女性がこの圭史からいきなりかけられる言葉です――いきなりそんなこと言ってくる人間が現実でいたら、100%「このヒト、頭おかしい」と、逃げますが。

本書の前に読んだ「家鳴り」が、薄気味悪い話ばかりを集めた1冊だったので、本書がそれとはまったく趣を異にする、いわゆるハートウォーミングな物語から成り立っていたのがいっそう嬉しく感じられました。

絶望的な未来を告げられた人間が、それを変えようと必死になる姿。夢がかなわないことを知らずにひたむきに努力する人間と、それを、あたかも神の視点から眺める人間の、穏やかで温かな気持ち。

未来が見える――予言者の視点を持つ青年を配することで、通常なら一方通行に、ずっと流れて行くばかりの「時」が、物語の中では、返ってきたり、飛び越えられたりもする。それがとても話を面白く、深く、複雑にしています。そして、ひたむきだったり、静かな諦めだったり、あるいは強さだったりという様々な姿勢をもって、人がその「時の流れ」――「運命」といってもよいのかもしれません――を生きてゆく。それはある意味、「時」に負けなかったということなのかも知れない。

それぞれの生き方を、決して否定せず、静かに見守るような空気が、全編に漂っているような気がしました。

もっと読んでみたい作家さんです。

webcitron01.gif


My Favorite Books(お気に入りの本のブクログ)
BOOKS INDEX(作家別感想文一覧)

関連記事
tag: 高野和明 
  1. 2019/03/25(月) 22:00:00|
  2. 2019
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

トラックバック

トラックバック URL
http://lazymiki.blog110.fc2.com/tb.php/2051-0ff849fe
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する