本と旅とそれから ハケンアニメ!/辻村深月

本と旅とそれから

ハケンアニメ!/辻村深月

辻村作品をまた1冊。
これは、いわゆる「お仕事小説」(という言葉をどこかで読んだ)ですね。
雰囲気が似ているということですぐに思い浮かぶのは「書店ガール」(感想文は►コチラ)のシリーズ。様々な悩みを抱えつつも、自分の仕事が好きで、懸命に頑張る主人公たちの姿に感情移入しながら楽しめます。
ハケンアニメ!

ハケンアニメ!/辻村深月(マガジンハウス文庫)

本書で取り上げられるお仕事は、アニメ制作。
文庫版の巻末には、辻村さんと、新房さんとおっしゃるアニメ監督さんとの対談が収録されています――辻村さん、小説を離れても、大変アニメ好きでらっしゃるようですね。

私もかつてアニメが好きだった頃があったなー。好きな作品のサントラ版のレコード(そういう時代のハナシです)買ったりしたこともあります。当時の私からしたら、高い買い物だったと思います。「海のトリトン」とかね。当時家にあったレコードプレーヤーがあまりちゃんと機能しなかったせいで、せっかく大枚はたいて買ったのに、大して聞かなかったような気がしますが。

ちょっと脱線しますが、「海のトリトン」の主題歌って、いまだに高校野球の応援でよく演奏されていますけど、歌ったり演奏したりしている高校生たちは、あれがどんなストーリーなのか、知っているのかしら。オリジナルの歌を聞いたことなんてあるのかなぁ…。
当時、「宇宙戦艦ヤマト」、「ルパン三世」と並んで、三大アニメみたいに言われていたのだけれど、「トリトン」だけがほぼ完全に姿を消してしまいました。すごく夢とロマンに満ちた(ちと陳腐な表現でしょうか…)すごい作品だったけど。

最近何かアニメ見たかなぁ…、あ、NHKの「3月のライオン」見ました。あれは面白かった。まだこれからも続きそうなので楽しみにしています。その後、同じ時間枠で(だったかな?)「ピアノの森」(これまた、だったかな?)というアニメを毎週録画していたのですが、何かほかに録りたい番組があって最終回に近い1回を録画できなくて、結局全部見ないで消してしまいました。
NHKでは、とにかくとにかく、「十二国記」の続きを作ってもらいたい!…まあそれを言うなら、原作の続きの方がはるかに望まれるのですが。

話を戻しますが、物語はアニメ制作の現場に関わる人々数名を主人公に据えて、全編ひとつの長編でもあり、それぞれの章が主人公を別々にする中編集のようでもあり、という構成になっています。

「スロウハイツの神さま」(感想文は►コチラ)もそうでしたが、本書も、物語のメインの舞台のひとつが西武線沿線。辻村さんは西武線に縁のある方なのかしら?
そうそう、大泉学園のあたりに東映動画ってありましたものね、実際に。今もあるのかな?社名は変わっていそうですね。私が経験したアニメブーム(もしかしたら、第1次ブームだったのかな)の中心が東映動画だったような気がする…。

作品中に登場するトウケイ動画っていう業界最大手というアニメ制作会社は、東映動画をモデルにしているに違いない。かつての実際のアニメブームの頃は、熱心なアニメファンがスタジオを見学しに行ったりしてたもの。使われなくなったセル画を販売したりしてたそうです。私はそこまで熱心ではなかったので、人に聞いただけですが。
今は――セル画なんてあるのかな~?

アニメ制作という仕事についていろいろ読めて、本当に興味深い。
辻村作品では、登場人物たちのものの感じ方にちょっと距離を感じることも多いのですが、本書はバリバリ現実的で、そうした戸惑いのようなものもほとんどありません。

それに、人物描写も共感できます。
ひとつの方向からある人物を見て、例えばネガティブな感じに見えたとしても、また別の方向、別の立場から見ればそうでもなく、むしろ真逆な人物に見えたりする。そのどちらもが一面の真実であり、同時に一面だけしか見ていないものでもある。まあ、「誰にでも好かれる」という羨ましい人もいるけれど、敵もいれば味方もいる、という人も多いものですよね。

辻村さんご自身がアニメを大変お好きなようで、なので、その制作に取り組む人たちの姿は、とても前向きに、肯定的に描かれていて、元気をもらえる物語です。
ジブリ関係を別にすると、昨今の(特にTV)アニメにはなかなか手が出ない私ですが、「またちょっと何か見てみたい」ような気にさせられました。


webcitron01.gif


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  1. 2019/03/28(木) 22:00:00|
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コメント

思春期にややアニメオタクだった私としては、いつか読まざるを得まい!
KM君の影響で、辻村作品を進んで手に取る今日この頃。最近では凍りのくじらを読んだのだけど、ドラえもんが鍵の作品だし、本当にアニメ好きな作家なんだろうね。
  1. 2019/04/08(月) 23:03:18 |
  2. URL |
  3. しの #2nAugjbc
  4. [ 編集 ]

しのちゃん、

(お返事遅れてごめんなさい。)
直近のドラえもん映画、原作が辻村さんだと宣伝してたね。
この「ハケンアニメ!」は、どーっぷりアニメ業界話だよー。
面白かった♪
  1. 2019/04/13(土) 21:29:03 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #Dud4.962
  4. [ 編集 ]

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