本と旅とそれから 1/2の騎士/初野晴

本と旅とそれから

1/2の騎士/初野晴

その分厚さと、裏表紙にあった「ファンタジックミステリー」という紹介に惹かれて手に取った1冊。巻末解説を読むと、さほど作品数の多い作家さんではなさそうで、しかも本書刊行時点(2010年初頭)では、会社員との兼業作家さんのようです。
1/2の騎士
1/2の騎士/初野晴(講談社文庫)

主人公は高校生の少女。そして、彼女と、登場人物の中のもうひとりにしか姿の見えない幽霊――のような存在。
さらに、この二人の設定が細かくて、高校生の少女・マドカは、全国レベルの腕を持つアーチェリーの競技者で、レズビアンで、事故で母を失い警察官の父との二人暮らし。さらに喘息を患っていて、激しい運動をすると息が苦しくなり、いつも吸入器を携えている。

幽霊の方は、年回りはマドカと同じくらいらしい少年なのですが、外見は少女。つまり、女装の少年幽霊なんですね。ちなみに、その女装姿がステキだったので、マドカが心惹かれるというところから物語が始まります。

この幽霊はそもそも何者、そしてなぜマドカの前に姿を見せたのか、という話は物語の最後に明かされますが、それは話の本筋とはあまり関係ありません。

マドカの暮らす町で次々と犯罪が起き、それをマドカと、彼女がサファイアと名付けた幽霊と、彼女のアーチェリー部の仲間や「元恋人」(複数)や、高校の後輩たちや、事件を調べるうちに知り合った地元マフィアや私立探偵やらが力を合わせて解決していくお話です。

ファンタジーというか、現実をベースにした単に荒唐無稽な設定の物語のようにも思え、最初は少々違和感がありましたが、まあ何とかリズムに慣れると楽しめました。

この幽霊・サファイアが、ミステリーの探偵役といえばいえるでしょうか。
そもそも幽霊などという存在なので、ほとんど何もないところからつるつると真相を推理してしまっても、ズルいという感覚もわきません。まあ、謎解きはこの小説の主眼じゃないみたいですし。

マドカを中心とする若者たちの眩しい交友物語がメイン…でしょうか。
世の中でLGBTやその人権が話題になることが次第に多くなってくると、彼らをメインキャラに据えた物語も、今後増えてくるのでしょうか。これまでだと、おかまバーのママという役どころぐらいでしか見なかったように思いますが。

多少の消化不良の感覚が残りますが、とりあえず爽やかな読後感でした。

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  1. 2019/04/18(木) 22:00:00|
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