本と旅とそれから とにかくうちに帰ります/津村記久子

本と旅とそれから

とにかくうちに帰ります/津村記久子

マイブームになりそうな津村記久子作品。
どんな順番で読むのがよいのかわからないけれど、どれを読んでも面白そうな予感があるので、適当に借りてきてみました。
「とにかくうちに帰ります」

とにかくうちに帰ります/津村記久子(新潮社)

面白かったです。
不思議なことに、状況設定とか人物描写とか筋立てとか、特に「これが面白い!」という感じはないのですが、何だか読んでいて面白い。
え~~、ありがたい~、何だか。

本書の構成は、最初に「職場の作法」と題して、とあるオフィスに働く人々を描いた物語(っていうのか?)があります。ひとりひとりを個別の短編として描いていますが、視点はある女子社員のもので共通です。それぞれにユニークではあるけれど、ことさら奇異でも特別でもないという程度の会社員を描いた短編が4つ。

次に「バリローチェのファン・カルロス・モリーナ」という、何それ的なタイトルの、これも短編。
「職場の作法」と舞台も登場人物も共通なので、「職場」の追加の一編としてもよさそうなお話。まあ、「職場の作法」というくくりのタイトルには確かに当てはまらないかも知れないのですが――これについては、ちょっと三浦しをんさんを思い出させるような、笑いをさそう文章で語られます。

最後に表題作の「とにかくうちに帰ります」。
大雨(台風?)のある日、帰宅しようとオフィスを出た人々が、交通機関が止まり、いつもの通勤経路の道が通行止めになってしまったせいで思いもかけない苦労を強いられつつ、家を目指して歩き続ける道中を描写しています。

どの話も、地味というか淡泊というかそんなふうなのですが、見た目パッとしなくても、いつまでもダラダラ(表現は悪いけど)食べ続けられちゃうスナックのような感じ――具体的には何かな~、うす塩味のポップコーンとか?

津村さんは大阪の方だし、勤務経験も大阪方面のようなので、物語の舞台となる地域もオフィスもきっとイメージは大阪のどこかなのでしょうが、私はそうはいかないので、勝手に晴海あるいは羽田方面を思い浮かべて読みました。特に、「とにかく」。広い川、長い橋、見渡す限りの倉庫群。晴れた日でも、私はあんまり好きじゃないかもと思う、大味な風景。まして大雨の日ともなれば…。

そんな舞台設定なのに、なぜか話に入り込んで読めてしまいました。


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  1. 2019/05/18(土) 22:00:00|
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