本と旅とそれから ののはな通信/三浦しをん

本と旅とそれから

ののはな通信/三浦しをん

「書簡体小説」ですね。
全編お手紙形式。後半はメールですが。
結構分厚い一冊でした。
「ののはな通信」

ののはな通信/三浦しをん(角川書店)

「のの」、「はな」と呼び合う二人の女性の間に交わされる、昭和59年(1984年)から2011年までの手紙とメール。27年間、ということですね。
いやしかし、この二人の年代が、ほぼ私と同じと思われます。高校生で「日出処の天子」で盛り上がるところから始まるあたり、懐かしい…。山岸涼子さんの話題作でしたねえ。どうやらこの「のの」「はな」は「LaLa」派だったのだなー。私は「プリンセス」派ではありましたが、単行本でかなり熱心に読みましたね、「『ひどころ』天子(仲間内ではそう呼んでいた)」。でも、一番最後までは読んでいないかも――厩戸皇子と蘇我毛人は結局どうなったんだったけ?

高校、大学時代と、私も手で手紙を書く(つまりメールではなく)のが大好きでした。
ただ私の場合は、内容よりも「手で字を書く」という行為そのものが好きだったという記憶が――そのせいか、大して内容のない手紙を量産したのだったと思います。
ホント、量産したな~、毎日何通も書いたものです。

それはさておき、境遇に近いものがあると、感情移入しやすい。
私の場合は「のの」こと野々原茜の方かなあ。まあ私には、東大に進学した彼女のような優れた頭脳も、自分の道をつらくても一人で生きていく強さもないし、レズビアンでもありませんが。

書簡体小説って毎度ながら思います、登場人物たちはどんだけ長い手紙を書くんだ。
一日のうち、どれだけ長い時間を手紙を書くことに費やしているのやら。まあ、フィクションだから、なんだけれど。

高校生の頃から始まって、あれこれあった後にやがて「はな」は外交官と結婚し、夫に付いて政情不安なアフリカの国に赴任し、日本で暮らす「のの」と、メールを交わすようになる。
・・・この段階にくると、二人はもう何年にもわたって、実際に顔を見ることがないままメールだけでやりとりしているのですね。頭の中でだけ相手の様子を想像しているわけだけれど、おそらく思い浮かべているのは、最後に顔を合わせた大学生の頃の姿なのでしょう。

そうして言葉と思いだけを交わすうち、「はな」の暮らす国は動乱に呑み込まれ、「のの」の日本は2011年3月11日に近づいてゆく。
書いたものを相手に届ける手段がなくなってなお、二人は手紙を、メールを綴り続ける。

物語全般的に、多少饒舌に過ぎるというか、まだるっこしい感じがあると思わないでもありませんが、究極的にプライベートな「通信」の愛しさというか、尊さとさえ感じられるものが、彼女たちの言葉から濃く漂っているように思われました。


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