本と旅とそれから 島はぼくらと/辻村深月

本と旅とそれから

島はぼくらと/辻村深月

多作な作家さんです。
結構次々読んでいる感覚ですが、「読んでない作品が残り少なくなってきた」ような気はまだまだしてきません。嬉しいことですが。
島はぼくらと

島はぼくらと/辻村深月(講談社文庫)

で、作風も複数あって、かなり異なります。
本作「島と」は、これまで私が読んだことのある辻村作品の中では「ハケンアニメ!」(感想文は►コチラ)が一番近いように思います。ファンタジー要素はなくて、若者の頑張る姿が爽やかに描かれている、という感じ。
「島と」の主人公は、瀬戸内海のとある島・冴島(さえじま)に住む高校生の仲良し4人。内訳は男女2人ずつで、どちらかというと女の子2人の視点が重視されている感じです。毎日同じフェリーで本土にある高校に通っています。
この冴島は、島がひとつの村なのですが、村長の音頭取りで、積極的にIターン、つまり他所からの移住者を受け入れています。

作中では、4人を中心にその家族、島に暮らす人々、さらに様々な形で彼らと関わる人々の物語が語られていきますが、瀬戸内海の島が舞台とあって、海の景色やのんびりした田舎の雰囲気みたいなものが常に物語に漂います。

辻村作品は、ちょっとホラーというかブラックなテイストのものもあるとはいえ、読後感の重いものはあまりないように思います。なので、読んでいる間の不安感(というのかな)は基本的にはないのですが、特に本作などは、「きっと爽やかなラストなんだろうな」と思いながら読め、まあ大体予想通りに終了します。

高校時代なんて、ほんの3年。過ぎてしまえば短いものです。とはいっても、同じ長さの時間を長いと思うか短いと思うかは人それぞれ、状況によるもの。この日々がずっと続けばいい、終わらないで欲しいと思うことができれば、言うまでもなくそれが幸せな青春の1ページってものになるのでしょう。

4人の若者たちはみんなよい子。性格はもちろんいろいろで、ちょっとひねくれた子やおマセさんもいますけど、友人や仲間のために一生懸命になれる子ばかりです。こんな仲間たちと、広い海と空に囲まれて暮らせたら、そりゃある意味パラダイスかも。

ラストにちょっと、「スロウハイツの神様」(感想文は►コチラ)の登場人物が顔を出します。辻村作品にはちょくちょくあることみたいです。こういうふうにゲスト出演みたいないな感じで出てくる彼らは、すでに自分の物語を終了しているせいか、いつも何となく超越した立場の人って感じに描かれます。悩む主人公たちに、余裕の立場からちょこっと助け船を出す、みたいな。そこが少しだけリアリティを欠くようにも思いますが、ま、いっか。


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  1. 2019/05/27(月) 22:00:00|
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