本と旅とそれから エヴリシング・フロウズ/津村記久子

本と旅とそれから

エヴリシング・フロウズ/津村記久子

ストーリーでぐいぐい引っ張っていく、というタイプの小説ではなかったせいか、読み終えるのにずい分日数を費やしてしまいましたが、でも、すごく楽しめました。
津村記久子さん、かなり好きだわー。
津村さんと辻村深月さん、しばらくマイブームが続きそうです。
エヴリシング・フロウズ

エヴリシング・フロウズ/津村記久子(文藝春秋)

冒頭、主人公が中学生男子とわかって、「えー、失敗したかも、物語に入り込めないかも、てか、津村さん、何でまた中学生みたいなすごい若者を主人公にしたかな!」って感じでした。
そもそも私は、自分の学生時代、まして中学生なんて、その頃を思い返すと、何を考えていたかなんて――いや、何も考えてなかったのじゃないかと…。

主人公・山田ヒロシも、まあ大してまとまったことを考えていたわけではなく、絵を描くのが好きだ、でも、同級生のある女の子の描いた絵があまりに上手いのを見てやる気が低下した、とか、高校受験に向けて毎日塾に通っているのだが、おかげで自分の自由に使える時間が少なくて嫌でたまらん、とか、お喋りな母親と日々会話するのが億劫だ、みたいなもんですが。

舞台は大阪で、会話はすべてバッチリ大阪弁。もしかして津村さんの小説はすべてそうでしょうか。関東人の私には、それがちょっと非日常感を感じさせてくれるのもよいような。

でもヒロシ、根本的に君はいいヤツだねえ。自覚はないだろうけど、誠実な人だわ。
周囲の友人、同級生たちには少し軽く扱われている感も否めないけれど、同時に彼らはきっとしみじみ、ヒロシという友人のありがた味を感じていると思います。頑ななまでに善人だし。間違っても人をいじめたりするような人間じゃない。消極的なようでいて、実はかなりしっかりと「自分」を持っていて、その感覚に反することは絶対にしない。それをしっかりと自覚していないせいで、何となくフラフラした少年みたいに見えますけどね。

本書は、そんな(どんな?)ヒロシの中学生としての日々。
ことさら刺激的な何かが起きるわけではありません。多くの中学生が、そのバリエーションみたいな日々をおくっていそうな感じです。

それを読んで何がそんなに面白いのやら。

不思議な気すらしますが、何かこう、薄味ながらほんのりいい匂いのする食べ物のような。いくらでも食べられまーす、って感じ。
本が終わってしまって、あらー、残念、って感じです。


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  1. 2019/05/30(木) 22:00:00|
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