本と旅とそれから きいろいゾウ/西加奈子

本と旅とそれから

きいろいゾウ/西加奈子

西加奈子さん、2冊め。

とても面白かった。好きなタイプの物語か、と問われれば微妙な気もしますが、でも楽しめた――のは、間違いないか。
「きいろいゾウ」

きいろいゾウ/西加奈子(小学館文庫)

ちょっと不思議な物語でした。
物語のメインの舞台、つまり主人公の若夫婦が暮らしている田舎町(村か?)がどこかはよくわからないのだけれど、関西エリアのどこか、海に近いところです。
最初は、梨木さんの「家守奇譚(感想文は►コチラ)」とか、いしいしんじさんの「ごはん日記(►コチラ)」みたいな雰囲気で始まりますが、だんだんと、「これが西加奈子ワールドなのかな?」という世界に入っていきます。

この主人公の若夫婦のネーミングが変わっていて、夫がムコ、妻がツマ。本名が武辜と妻利って設定なので。「ムコさん」「ツマ」と呼び合っています。

前回読んだ「さくら(感想文は►コチラ)」では、主人公には犬のサクラが話しかけてくる声が聞こえていて、それが、主人公の心が彩を失ったときに聞こえなくなります。本作でも、ツマが、周囲の植物や動物の声が聞こえるという人物。こちらも、妻の心が迷ったとき、聞こえなくなるのです。このあたりが西加奈子さんの特徴?・・・などと考えるのは、まだ2作じゃ早い。

後半は、かなり情熱的な恋愛物語。なんか、「ピアノ・レッスン」な感じでした。
恋愛感情が高じて、愛する相手の指を切断してしまうのが「ピアノ」。その激しさに、私などは引いてしまいます。まあ、ムコとツマの場合、その激しい山を越えて、また穏やかな流れに戻ることができましたけどね。

「きいろいゾウ」とは何かといえば、ムコとツマが、偶然にどちらもが、子供の頃に読み、その記憶に残っていた童話。話のあちこちにちりばめられた「月」のイメージと同様、主人公たちの心の何かを象徴しているようです。6つの章から成る物語の冒頭に、童話の中の一節が引用されています。

ムカデや野良犬の出没する生活環境は私には過酷すぎますが、でも、完全に信頼&依存できるパートナーと、親身になってくれるご近所さん、「ツマさんが好きです、でもムコさんにはかないません」みたいな手紙をくれる遠くに住む少年、なんかがいる人生は幸せそうだわー。
羨ましい。

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