本と旅とそれから 下町ロケット ヤタガラス/池井戸潤

本と旅とそれから

下町ロケット ヤタガラス/池井戸潤

4月に読んだ「ゴースト(感想文は►コチラ)」にすぐ続く続編でシリーズ最新刊。
予想通りの一気読み。「ゴースト」も面白かったけれど、物語の壮大さでは「ヤタガラス」の方が上回ります。「ゴースト」を読んだときに感じられた通り、あれは「ヤタガラス」への導入というか、前奏曲的な位置付けだったようです。

そして、原作を読み終えてから、昨年秋と、今年のお正月特番に放映されたTVドラマ版を録画しておいたのを見ました。こちらも予想通り面白かったー。やっぱり、我慢して待って、原作を読んでから見てよかったと思います。
「下町ロケット」

下町ロケット ヤタガラス/池井戸潤(小学館)

この「下町ロケット」や「半沢直樹」のシリーズは、ちょっとあからさまに思えるくらいに池井戸節全開の物語。主人公とその頼れる仲間たちが、強大な力を持つ悪役にいじめられ、窮地に追い込まれ、それでも歯を食いしばって頑張って、土壇場で大逆転勝利を収めるというパターンです。必ずそうなるとわかっているのに、やっぱりそれでワクワクし感動してしまいます。

ビジネスなのだから利益を追求するのは当たり前だとしても、ビジネスはそれだけであってはならない、世のため人のためになるものでなければならない、そうであってこそ人は自分の仕事に全力で打ち込むことができるんだ――という、ちょっと赤面しそうなくらいの綺麗ごとを堂々と述べる主人公。これは小説だから、フィクションだからと思っても、それでもこう真正面から言われると何だかこそばゆい気になります。

ドラマは一層そう。阿部寛さん演じる主人公・佃航平がそうですし、吉川晃司さんの財前道生もそう。財前部長の方は、町工場の社長とはまたちょっと違って、日本を代表する大企業・帝国重工は、社会の範となるべき振る舞いをしなければならない、というこれまたこちらが照れてしまいそうなことを堂々と・・・。俳優さんの熱演があるので、見ている分にはただワクワクですが、後から思い返すと、「うーん、あんなウツクシイことってホントにあるかしら」と思えてしまいますが。

ドラマは、見せ場を作るために原作にはないエピソードがいろいろ盛り込まれていて、そのクライマックスがお正月特番の台風のシーン。
佃製作所を退社して農業に転じた殿村さんの田んぼが台風に襲われるというエピソードは原作にもありますが、TV版ではもう「これでもか!」ってほどにこの話がドラマチックに演出されています。ちょっとSFになってると言ってもいいくらい。

イモトアヤコさんってお笑い芸人さんですよね。ドラマでは見事に原作のイメージに合った「天才エンジニア」を演じておられました。尾上菊之助さんは、スタートアップ企業の社長にはちょっとばかり上品すぎた気も…まあ、いっか。で、古館一郎さんは――うーん、古館一郎さんにしか見えなかったかなぁ…まあ、それもいっか。神田正輝さんは、強敵の悪役を熱演しておられて、かなり憎たらしかった。低音が凄味あってよかったです。

予想通りでも、綺麗ごと満載でも、やりすぎに思えるくらい盛り上げてあっても、やっぱりTV版、面白~い。見ると元気出る思いがするし。
原作はそれよりずっと落ち着いたトーンではありますが、こちらも面白い。池井戸さんの銀行員物語もよいけれど、ひたすらモノづくりに邁進する下町工場の話の方が、人間ドラマという点ではちょっと上かも。

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  1. 2019/06/06(木) 22:00:00|
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