本と旅とそれから 「蜜蜂と遠雷」

本と旅とそれから

「蜜蜂と遠雷」

蜜蜂と遠雷


最近、映画にしろ展覧会にしろ、見よう、行こうと思っている間に終わってしまうことが多いので、「これは是非」と、やる気を出して(?)出かけました。
恩田陸さんの原作(感想文は►コチラ)が素晴らしかったので、映画化されたと聞いて興味はあったのですが、でも、超長編なので、2時間程度の映画に収めるなんてできるのかしらと思っていました。

そんな心配にもかかわらず――見終わってすぐの気持ちは、とても爽やか。映画を観た後というか、クラシックのコンサートを楽しんだ後のような感じでしょうか。


蜜蜂と遠雷


感動したとは言いながら、原作の細部はサッパリ忘却しているんですけどね^^;。

映画の方も、原作の物語の大部分はバッサリ切り捨て――というか、映画に取り上げたい要素だけをパクっと取り上げたような感じです。だから、原作を読まずに映画を観た場合どんなふうに思うのかちょっとわからないのですけど…。


蜜蜂と遠雷


松岡茉優さん演じる栄伝亜夜が主人公に据えられています。
原作でも彼女は主要人物のひとりではありますが、彼女と、異端の天才少年風間塵、正統派天才ピアニストマサル・カルロス・レヴィ・アナトール、そして、サラリーマン・ピアニスト高島明石が、それぞれ異なる色合いの「主人公」を演じていたと思います。


蜜蜂と遠雷


まあ、明石については、松坂桃李さんを配しているのでサブ主人公ぐらいの位置付けなのだと思います。でも、原作では、第二次予選で落選した彼が、最後に奨励賞と作曲家賞を受賞するシーンが私にはとても印象的だったのですが、映画ではそこは描かれていませんんでした。受賞を知らされたときの明石の顔(松坂桃李さんの)を見たかったなぁ。

あと、ジュリアード出身の血統正しい王子様のマサルが、悩める元天才少女・亜夜に再会して恋に落ちていく様子などが、もっと見たかったかな。
亜夜と母との思い出は、原作とは違う扱いになっていたと思います。映画の方がよかった。いや、でも、いくら天才少女だからって、プロコフィエフのピアノ・コンチェルト3番を12、13歳の少女が弾けるとは思えないんですけど。実際に、弾けるものなんですか?

プロコフィエフの3番は、私にとっても特別の思い出があります。
マルタ・アルゲリッチさんの生の演奏を唯一聴いたことがあるのがこの曲なので。あまりの感動に震えたし、私だけでなく、その場の聴衆すべての心をつかんでぐいぐい揺すぶったと思える演奏でした。
あれから、あの感動をまた味わいたくて、ほかのピアニストさんたち(有名な人たちでしたが)の同じ曲を何度か聴きに行きましたが、やっぱりそうはいきませんでした。

と、書いていてふと違和感を覚えてあちこち確認したのですが、原作では、最後の本選で亜夜が弾くのはプロコフィエフの2番で、マサルの弾くのが3番となっているようです。それが映画では逆になっている。たぶん3番の方が音としてドラマチックだからじゃないかと思いますけれど…。

ま、それはともかく。
俳優さんたちは、皆さんプロの指導を受けながらピアノ演奏シーンを演じられたと聞きました。といっても、もちろん演奏シーンの手は、別人のもの。ものすごいテクニックだから、さすがに素人には真似できないと思います。でも、撮影もすごい。手が別人って思わないもの。すごい指さばき(というのか)なので、「プロの手に違いない」とは思いますが、違和感はまったくありませんでした。エンドクレジットで演奏者の名前が出るので、「あ、やっぱり」と思った次第。

松岡茉優さんって、私はほとんど馴染みのない女優さんで、「エン転職」のテレビCMぐらいしか知らなかったのですが、今回はいい印象でした。ことさら演技派!というふうには見えませんでしたけど、透明感があって、作品世界に合っている感じ。

そうそう、ちょっと違和感があったのが、鹿賀丈史さん演じる本選(ピアノコンチェルト)の指揮者かな。有名&有能な指揮者という役どころなんだけれど、私の中で鹿賀丈史さんって常に鹿賀丈史さんなのですよね。それに、有能な指揮者が、悩める若いピアニストたちの才能を認めたことを示す一瞬の表情が、常に同じような笑顔だったのが何だか物足りなかった…。

ともあれ、心にピアノが鳴り響く感じでした。

►映画「蜜蜂と遠雷」公式HPはコチラ
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  1. 2019/10/21(月) 22:00:00|
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