本と旅とそれから ツバキ文具店/小川糸

本と旅とそれから

ツバキ文具店/小川糸

5月も月末というタイミングのブログUPになりましたが、実は本書が今年最初の1冊。
さほど期待していたわけではなかったのですが、年の初めの1冊は、とても素敵なお話でした。
ツバキ文具店
ツバキ文具店/小川糸(幻冬舎文庫)

昨年末から持ち越しで読み続けていた別の本を読み終えられずに図書館で再び借りようとしたところ、ちょこっと手違いで別の本が手元に来てしまったので、偶然本書が今年最初の一冊となりました。

その「別の本」は「ハゲタカ」シリーズの続きなのですが、年の初めの一冊としては、本書のような、穏やかで、ほんわり幸せな本の方がよかったと思います。

舞台は鎌倉。
京都ファンの私は、京都を舞台にした小説というと無条件に手に取る癖があって、一方で鎌倉には特に思うところはなかったのですが、本書を読んでちょっと気持ちが動いた――かも。
鎌倉が舞台の小説といっても、すぐに思い浮かぶのは「ビブリア古書堂」シリーズ(感想文は►コチラコチラ)ぐらい、あとちょこっと最近の映画作品(原作が小説かどうかは未確認)が思い浮かぶぐらい。たぶんもっといろいろあるんだろうな、ちょっと気をつけてみよっかな、という感じです。

そう、で、鎌倉で、そこにある古風な文具店です。
やっぱり、古風じゃなきゃダメなんでしょうねえ、ビブリア同様。
文具店ではありますが、文具の販売よりも、その特色は代書屋業務の方にあります。つまり、手紙の代筆業ですね。
いやー、今どきそんな職業なんて実在するのだろうか。まあ、ネットで探したら出てきそうな気はしますが…。

字が汚いから清書してくれ、じゃなく、趣旨や状況だけ依頼して、文章そのものも考えて手紙を全部作ってもらうというもの。店を訪れる様々な代書依頼の物語です。
本の中には、活字ではなく、出来上がった手書きの手紙も載せられています。

話が前後しますが、そもそもなぜ本書を借りることにしたかというと、図書館で見かけたときに、「あ、これNHKでドラマやってたな(2017年)」と思い、多部未華子さんが主役だったことを思い出したから。どうも私はちょっと彼女が好きみたいです。
それで、読み終えてからNHKの番組HPを見てみました(►コチラ)。

そしたら、そこにも「出来上がった手紙はこうです」の画像がありました。
正直なところ、原作の本にあったものより、番組HPのものの方が私のイメージには合っていました。
というのも、物語の重要な要素のひとつが、主人公・鳩子の生い立ちや、彼女を育てた祖母との関係なのですが、その中で祖母がいかに厳しく彼女に文字やその書き方を教え込んだかが語られます。
最初は毛筆でひたすらマルを書くことばかり練習させられる。次は平仮名&片仮名、それからようやく漢字。何日も書かないでいると腕がなまるから、と祖母に言われた鳩子は修学旅行にまで毛筆を持参して隠れて練習したなんて――バレリーナかピアニストかって感じです。

そんな鳩子が書いた手紙にしては、本に収録された手紙はちと拙い感じがしたのですよ。文字も全体の佇まいも。
物語の中には、いわゆる「上手い字」だけが手紙にふさわしい字というわけではないとは語られており、鳩子は、男文字や勢いのある字、さらには「あの人が年をとったら今はこんな字」みたいな字まで書いて、心の伝わる手紙というものを作り上げていきます。
だから、私には「ちょっと拙い」と見える文字と手紙が、すなわちふさわしくないとは言えないということかもしれませんが――やっぱりテレビ版の手紙の方がしっくりきました。
本の中の手紙を誰が書いたかという名前も記されているので、意図的にあのような字&手紙になっているのでしょうけど…。

NHKドラマの方が残念だったのは、固有名詞かな。
TV、特にNHKとなると特定商品名は出せないということなのでしょう、原作では「マダムカルピス(その人が水玉模様で身を包んでいたから)」、「QPちゃん(そっくりだから)」となっていた名称が、ドラマでは「マダムサイダー」と「はーたん」になってました。マダムカルピスはまあいいけど、QPちゃんは、そのままが可愛らしくてよかったのになー。

物語の舞台として折にふれて描写される鎌倉のあちこちの様子。社寺仏閣、自然、お店。どれもとても素敵で、京都とはまた違う古都の趣が感じられてとても素敵でした。
ただ、鎌倉って、埼玉県からは遠いんですよねー。東京まで出て、そこからまた神奈川県を目指すわけで、距離はともかく、時間と手間を言えば、新幹線で京都に行くのとさして変わらない感覚(実際にはかなり違うとわかってはおりますが)。

続編が出ているようなので、早速予約しました。


webcitron01.gif


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  1. 2020/05/29(金) 22:00:00|
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