本と旅とそれから Kバレエカンパニー「ジゼル」

本と旅とそれから

Kバレエカンパニー「ジゼル」



この週末は、終わってみればすごくハードでした・・・って、お遊びで。
ひとつが、この熊川哲也Kバレエカンパニーのバレエ「ジゼル」を観に行ったこと。
かつて第一次(?)バレエ・ブームと言われて様々な演目の「日本初演」が続いた頃は、私も劇場通いに熱中したものですが、主だった演目やバレエ団を一通り見てしまった後は、あれほど好きだったバレエも、今では1年に1舞台見に行くかどうか、という程度です。
でも今回、義妹のKちゃんが(彼女も一種の気紛れからのようですが)熊川哲也を見てみたいといって誘ってくれたので、久しぶりに出かけてきました。

ここのところヘンなお天気ですが、この土曜日も朝から夏そのもの、という暖かいというより暑いといった方がよいようなお天気。Kちゃんとは上野駅で待ち合わせ。公演が終われば9時頃だろうし、私の家は上野から結構遠く、その晩はKちゃんもうちに泊まっていくので、時間はちょっと早かったのですが、まずは夕食。上野駅の元貴賓室を使って作られたというレストラン、ブラッスリー・レカンへ。
お店に入って予約をしていると告げるなり、「文化会館でございますか?6時半ぐらいまでということでございますね?」と、ウェイターさん。この時間に夕食食べにやって来る人たちってみんな同じスケジュールなのね。回りを見れば、いかにも劇場に出かけますという雰囲気の人たちがいっぱいで、あっちからもこっちからも、「ジゼル」、「熊川哲也」と聞こえてきます。
待ち合わせの頃、ふと外を見るとすごい雨。傘を持って来ていないというKちゃんは心配顔でしたが、のんびりと(実に。開演時間に合わせたテンポでお料理がサーブされていたようです)夕食を終えて駅を出てみれば、雨は上がって夕暮れの空はほんのり明るさも見えるほどでした。昼間の暑さがどこへやらの爽やかな空気。
上野の文化会館は、大好きな劇場のひとつです。今でこそあちこちにいいホールが出来ましたが、以前はここだけが孤高のアートの殿堂、という趣でした。改装もされましたが、何となく今も古風な雰囲気が残っている気がします。

「ジゼル」--この演目も、本当に久しぶり。
私は今でも、「バレエといえばまず『白鳥の湖』」というクチなので、あまりいろいろ見なくなった最近は、「ジゼル」からは遠のいていました。そのうえ、「バレエといえばまずロシア」でもあるので、日本のバレエ団からももぉーのすごくご無沙汰。最近の日本のバレエってどうなの?

「ジゼル」は2幕もの。
第1幕はとある田舎の村の場面。身分を隠した貴族の青年アルブレヒト(熊川哲也)が、村娘ジゼルと恋に落ちます。しかし、嫉妬した村の青年ヒラリオンがアルブレヒトの身分を暴き、ショックを受けたジゼルは気が狂い、死んでしまいます。

なんと、泣いてしまいました。2幕ならまだしも、1幕で泣けるとは、歳のせい?
熊川哲也の名前ばかりに目を引かれがちなこのバレエ団ですが、やはり「ジゼル」の主役はジゼルです。演じるのはヴィヴィアナ・デュランテ。熊川哲也とはロイヤルバレエ時代からのパートナーということですが、華奢で繊細な雰囲気が、恋にやぶれて狂っていく若い娘のイメージにぴったり。狂気のジゼルが、恋人との幸せな時間を思い出してふらふらと踊るシーンは、あまりの哀れさに涙が出ます。

しかも、みんな上手!スタイルもいい!
昔は、外国のダンサーと日本のダンサーが同じ舞台に立つと、踊る前から主役と引き立て役の差が歴然という感じだったものですが、今の若い踊り手さんは、頭は小さい、手脚も長い。踊りもとても安定感があって、村娘が二人で踊るところなども、シンクロナイズド・スイミングもかくやというくらいぴったり息が合って、やー、もう拍手拍手♪

「ジゼル」を見るのは初めてで、漫画「SWAN」ばっかり頭に浮かぶ、というKちゃんも、すでに1幕でしっかり感動した様子。
私は、舞台装置や衣装も変わったなぁという思いでした。これは別に日本のバレエ団に限ったことではないでしょうが、色彩がものすごくシック。村人たちの衣装は、「草木染めですか?」という感じの微妙な中間色。舞台装置は、流行の「モナリザ」の背景を思い出させるようなこれまた何ともいえない雰囲気を作り出していました。

そして第2幕。
墓地のシーン。ジゼルの墓を前に、乙女たちの精霊ウィリが漂っています。そこへまずヒラリオンがやって来て涙にくれますが、ウィリたちの怒りが彼を死に至らしめます。そして、アルブレヒトがやって来ます。彼も同じく涙に暮れ、同じようにウィリたちが彼の命を取ろうとしますが、ジゼルの霊が現れ、懸命に彼の命乞いをします。ウィリの女王ミルタは頑としてその懇願を容れようとはしないのですが、二人の愛に打たれ、とうとうアルブレヒトを許します。なおも嘆き悲しむアルブレヒトを励まし、ジゼルの霊は朝の光と共に消えて行きます。

これはもう、予想通り涙。
ミルタやウィリたちに、両手を合わせ、懸命に恋人の命乞いをするジゼルのあの健気な姿。ただひたすら嘆き悲しむアルブレヒトを立ち上がらせ、勇気づけながら、決して諦めないその強さ。失恋のあまり狂死してしまったか弱い乙女が、今は、一群のウィリたちを前に、一歩も退かない強さを見せる・・・。

熊川哲也は、やっぱり上手でした。名声に偽りなし、というところです。テレビなどに出て来ると、今どきの若者らしいどこか冷めたような話しぶりの彼ですが、ハートは熱いんでしょうね、でなきゃあんなパフォーマンスはできないと思います。
ミルタも上手~!松岡梨絵というバレリーナでしたが、もう素人の私が見ても、抜群のテクニックの持ち主なんだと感じられます。
そして群舞も素敵。他の日本のバレエ団を最近見ていないのですが、今どきはみんなあんなに上手なのでしょうか?まさに隔世の感、だわ~。でも、ジゼルの2幕目って、拍手のタイミングが難しい。どんなに上手だ、拍手したい、と思っても、舞台の雰囲気を壊しそうで静かにしていた方がよさそうなところがいくつもありました。

観客もみんな大満足の雰囲気で、カーテンコールも何度も続きました(バレエはこれで時間が長くなるのよね・・・)。熊川哲也のような「王子さま」スターのいるバレエ団はこういうものなのかもしれませんが、本当に若い女性の熱烈な拍手が鳴り止みませんでした。

帰り道も、Kちゃんとさかんにあそこがよかった、あの人が上手だったとひとつひとつ話しながら帰ったので、遠い道もあっという間。Kちゃん、今度はロシア・バレエで「白鳥の湖」見ようね。
(敬称略)
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  1. 2006/05/21(日) 23:45:00|
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No title

実はバレーってあまり興味がなかったけれど、ドラマみてたらなんだか楽しそうだな~って想いました。

そしたらプリマダムの特集を時々みる機会があってみてると、ゾクゾクしました!男性もすごく素敵ですね。ほんまに芸術ですね。
私も見に行ってみたいなって初めて思いました。
  1. 2006/05/23(火) 21:58:00 |
  2. URL |
  3. eikita711 #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

eikitaさん、
「プリマダム」か~、黒木瞳さんですね。
Kちゃんも一時すっごくクラシック・バレエをやりたがっていましたが、どこでどうなったのか、今は「ヨガ」がやりたいみたいです。
バレエって、踊りと音楽と舞台装置や衣装なんかもいろいろ鑑賞できて、もしかしてお得かも?ただ、音楽と比べると、座席の良し悪しで結構印象が左右されると思います。
もし、初めて見に行かれることがあったら、1回目はフンパツしてちょっといい席を取られることをおススメしま~す。
  1. 2006/05/25(木) 00:11:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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