本と旅とそれから 近頃こんな本を

本と旅とそれから

近頃こんな本を


自分でも、ここもう何年もアガサ・クリスティもエラリー・クイーンも手に取っていないけど、やっぱりもう彼らの作品って面白いと思う人が少なくなりつつあるのでしょうか?
いまだに心の底ではあの辺りのミステリを超えるものはない、と思っているワタシは、か~なり寂しいです・・・。
まあ、いいや・・・(ちょっと元気ないゾ)。

ともかく、まず、
邪魅の雫
京極 夏彦 / 講談社

前作「陰摩羅鬼の瑕」が「これはパワー落ちてるなぁ」と思わせた京極堂シリーズの最新刊。ようやく図書館で借りられました。

前作よりは復活した感じがしますが、引き続き、「『普通の』ミステリに近くなってきちゃったぞ感」は残っているような。妖怪の存在が薄いからなんでしょうかしら。
京極堂シリーズで、京極家の茶の間で延々と繰り広げられる妖怪・伝奇談義というのは、内容はともかく、いつの間にか自分もその茶の間の片隅で、関口氏や益田くんのお隣りで、彼らと一緒に「よくまぁ、この人ってばいろいろ知ってるねぇ・・・」と感心する、という擬似体験ができる場なんじゃないかしら。それで、物語の世界が自分にぐぐーっと入ってくる、というか。
それがないですね、今回。似たようなシーンがあるにはありますが、妖怪ネタじゃないですからねー。妖怪抜きの中禅寺氏は、ただの博識な古本屋さんでしょう・・・。

しかも今回は、人気のメインキャラたちがあまり出てこない。
ああ、関口氏だけは「どうしちゃったの、後で熱出るんじゃない?」ていうポジティブな鬱屈ぶりで活躍しますが、あとは、ほとんど益田・木下の両サブメインの独壇場のようです。
まあ、たまにはそういうのがあってもいいのでしょうが、やっぱりもの足りないの・・・。

ともあれ、繰り返しになりますが、前作よりは盛り返したと思うし・・・妖怪ネタが枯渇しちゃったんじゃ、という危惧は残りますが、次は木場修やエノさんの活躍を期待してます。

で、唐突ですけど、クリスティの「カーテン」をね、思い出させるところがあるんです、これ。
それから、
そして二人だけになった―Until Death Do Us Part
森 博嗣 / 新潮社

この文庫版の最後の解説・・・もし、この本が自分の持ち本だったら、破いて捨ててます、私。
堂々と「書評家」と肩書きを背負っておられるというのに、何という駄文を活字にするんでしょうか。この本のタイトルからクリスティの「そして誰もいなくなった」が連想される、などと書いた数行後に、そっちはあらすじ程度にしか知らないけど、と平然と書いている・・・。タメイキ。
それは、森氏に対しても失礼なんじゃないのかなぁ・・・。

解説は忘れるとして。
本編については、私はかなり好きでした。
といっても、その大部分は可もなく不可もない程度の緊張感でずっと行くのですが。ラストが切ない。これを一人称のトリックだなと思えば、「邪魅」もちょっとそんなところがあって、それって、月並みな連想ではありますが、クリスティの「アクロイド殺人事件」を思い起こさせます。
それはともかく、何となく森さんの作品の雰囲気みたいなものがわかってきたかな?という気がします。うまく表現できないけど・・・こういうのが現代風(言葉はみょーに古臭い・・・)なのかしら。どこか距離が感じられるというか。諦観・・・かな。生きることにさほどの執着を感じない主人公たち。それに何とはなしに共感を覚えるような。

もひとつ、
聖女の塔
篠田 真由美 / 講談社

よかった、このシリーズはちゃんと終着点が決まっているそうです。あと、2冊?と言っても別に、早く終わってくれと思っているわけでは決してありません。

・・・が、今回はこれまたちょっとパワーダウン?
「邪魅」と似たようなこと言ってしまいますが、人気のメインキャラがひとり欠けてるし。京極堂の妖怪に当たる桜井京介の建築に関する薀蓄話があんまりなくて。
似てるんですよね、そういうところ、このシリーズは、京極堂シリーズに。やたらとよくものを知っている探偵ーーまあ、ミステリの探偵役って大抵信じられないくらい博学ですが。

で、ここでもまた同じようなことを・・・次回は栗山みはるクンの活躍を期待してます、と。
それにしても、「ケッヘル」にも出てきたけど、佐世保バーガーってそんなに美味しいのかな。(どうして本筋とはまーったく関係のないそういうことが気になるかな・・・。)

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  1. 2006/11/20(月) 22:27:00|
  2. 2006
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No title

京極堂はもう「宴」で一区切りしちゃったんじゃないかとおもいます。
森 博嗣さんのはまだ読んでません。
ちょっと楽しみ。
「聖女の塔」読みました。
終末に向かってるな~と思いましたね。
さびしくもあり、最後まで見届けてほっとしたいような・・・。
それにしても、最後はカレの取り合いでしたね~。
ちょっとジャンルが違う小説みたいだった。
  1. 2006/11/20(月) 23:20:00 |
  2. URL |
  3. hleaves #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

◆hleavesさん、
うっ・・・ずばりおっしゃいましたね!
そうかな・・・そうかもしれませんねぇ~・・・そう思いたくないですが。
確かに「宴」はパワー全開でしたものね。

森さんの、英語の副題が最後に沁みます。

「聖女の塔」、刊行されてることに気付くのが遅れましたが・・・。
あれは、探偵の過去はどういう話になってるんでしょうねー。
私は料理上手の栗山みはるクンが好きです♪
彼がいないと、雰囲気がちょっと軟弱に傾きます。
  1. 2006/11/20(月) 23:49:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

篠田真由美さん気になる~~。今度図書館で探してみます。メモメモ。
それから森博嗣さんも、もうちょっと読みたいです。
図書館に「女王の百年密室」がないんですよね…「迷宮百年の睡魔」はあったんですけど。
これって順番に読まなきゃダメですか?
  1. 2006/11/21(火) 16:21:00 |
  2. URL |
  3. yurinippo #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

◆yurinippoさん、
篠田真由美さんのメインのシリーズは、この建築探偵のと、龍の黙示録のとありますが、後者はかなり荒唐無稽な伝奇(?)モノ。
どちらかといえば、前者をおススメしますが、好き嫌いある、かも。

あ~、森さんの「百年」は、やっぱり順番がよいと思います。
主人公ミチルと、その影のような存在のアンドロイドのロイディの関係が、1巻目を読まないとよくわからないんじゃないかしら。
ストーリーとしては、「迷宮」の方が面白いと思いますけど。
  1. 2006/11/21(火) 22:32:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
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No title

鬱屈したポジティブさ(!)というのは矛盾した表現ですが、今回の関口氏にはぴったりのフレーズですね。僕も「宴」後は、何だか毒が抜けたというか、キャラクターに業が感じられないというか、とにかく寂しいです。何かの本で、「宴」後は、物語がシンメトリーになっているとかなんとか読んだ気もするのですが、そういう風にも感じられず……。
京極堂自身の話もうやむやになってますし、もう一度「匣」や「理」のような濃いのが読みたいです。まだまだ、京極氏はやってくれるとは思ってますが。
でも、エノさんの最後の一言は良かったです。あのシーンの為に全体が書かれているようにも思いました。
  1. 2006/11/30(木) 23:52:00 |
  2. URL |
  3. kyura130 #79D/WHSg
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No title

◆kyuraさん、
「僕は君が嫌いだ」、でしたっけ。
ついつい、昔読んだ新井素子さんの作品のひとコマが思い浮かんでしまいます。「逆恨みのネメシス」だったかなぁ・・・。
なにせ昔のことなのでうろ覚えなのですが、主人公に「私はあなたが嫌いです」というメッセージが届くところから話が展開していくんです。
普通はこういう言い方をしない、普通は「私はあなた『なんか』嫌いです」というような感情の入った言い方をするものだ・・・というので、何かヘンだ、ということで。
で、エノさんのこの言葉を見た時、「とはいえ、まあこの人は常人の範疇を超越してるからね」と思ったのでした。
京極さんには、まだまだ「どろ~り」とした妖怪人間(またまた古いです。「早く人間になりたぁ~い・・・」シツレイ)でいて頂きたいです。
  1. 2006/12/01(金) 01:25:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
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