本と旅とそれから TEHANU(帰還)/                         Ursula K. le Guin

本と旅とそれから

TEHANU(帰還)/                         Ursula K. le Guin


ゲド戦記の1~3巻は、それぞれ1968、71、72年に出版されています。が、この第4巻が世に出たのは1990年。第3巻は、アレンとゲドが死の世界から見事生還するところで終わります。まだこの後が続いてもいいような気がするんだけど、まあこういうタイミングで終わるシリーズというのもあるわよね・・・なんて思っていましたが、実に20年近くの後に、その続きが語られることになるわけです。

私が最初に翻訳でゲド戦記を読んだ時、この4巻、そして続く5巻(出ていたことすらついさっき知りましたよ・・・)はまだ生み出されていませんでした。
だもので、内容をすっかり忘れていたくせに大ファンだった私(矛盾・・・)は、「よくぞ続編を書いてくれました!」という思いと共に、20年のギャップが大きいのでは、と不安もありました。
それと同時に、ジブリの映画「ゲド戦記」ではテルーがメインキャラの一人だったこともあり、そちらと比較、という気持ちもあったんですね。

TEHANU/Ursula K. le Guin (Penguin Books)
邦題:帰還(ゲド戦記Ⅳ)/アーシュラ・K・ル・グウィン


読み始めてすぐは、20年のギャップなんて全然感じられず、ついさっきドラゴンに乗ってロークに寄ったゲドが、そのまますぐゴントに帰って来たところから話がつながって・・・と思っていました。何となくそれが嬉しいし、久しぶりにテナーも登場して懐かしくて、という感じでした。
アレンは輝くばかりの若く見事な王となります。この世の新しい希望の象徴のような。
一方でゲドは魔力を失い、失意のうちにゴントで日々をおくり・・・となるので、いつゲドがその力を取り戻し、Archmage(大賢人・・・かな?)の輝きを煌めかせるのか、「まだかまだか」という思いで読み進むんですね。

一方でテルー、彼女については映画を見ているので、「実はドラゴンである」ことはわかってます。でも、映画のキャラのような気の強いしっかりした子ではないし、また映画よりはるかに残酷な仕打ちを受け、うちひしがれ、焼け爛れた顔の半分を人目から隠しながらひっそりと生きる存在です。年齢もずっと若くて「ほんの子供」だし。その分、本当に可哀相に思えて、彼女についても、いつその偉大な正体が顕わになるのか、こちらも「まだかまだか」なんですね。

で、まず映画と比べて、ということでは、うーん、今振り返ると、映画はかなり「宮崎(ジブリ)節」だったんだなー、と思います。監督が世代交代してはいても、少年と少女が手をたずさえて悪と戦う、というお得意のパターンをふんでいたのは同じ。
原作は、そういうクリアカットな型みたいなものにははまらないんですね。ただ、だからどちらがいい悪い、というものでもないだろうと思うので、まあ別物、と思うべきでしょうか。

そして20年ギャップの件では、実は最後の20ページぐらい(全部で約200ページです)で、急にそれが感じられ、正直に言ってしまうと、「ちょっとこのラストは好かん!」という感じでした。フェミニズムがどーっと全面に押し出されて違和感、というのもあるのですが、あまりにも現実的というか・・・。いや、ドラゴンは出てくるんですが、なのにものすごく「普通」っていうか・・・。
「夢なんか見てる世の中じゃないよ」という雰囲気が滲んでくるようで、ファンタジーがそれを言っちゃおしまいでしょ?と文句を言いたくなっちゃいました。「まだかまだか」が半分満たされない、というのもあるし。うう、最後がイヤ。

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  1. 2007/02/17(土) 23:55:00|
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No title

うおっ、3巻までしか読んでない(っていうか買っていない)時点で「全体的にネタバレ」以降を読んでしまいました…。ま、映画は見てるんですが。

実は、3巻と4巻の間がすごーく開いているというのを聞いて、とりあえず3巻まで読んだら一休みしようと思っていたのですが、やっぱり気持ち悪いから5巻までは(あと外伝?が1冊ありますよね)続けて読もうかな。
そういう「途中までシリーズ(と命名)」がやけにたまっているのです。
ハリポタとか、新宿鮫とか、ドラゴンランスとか。←何の脈絡も無いですが。(笑)
  1. 2007/02/18(日) 13:48:00 |
  2. URL |
  3. yurinippo #79D/WHSg
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あー私も早く読みたいー
自分で買う予定ははなっからないので(笑)兄をせかしているんですよ。
なんかキングの長編をこの前読み終わったって言ってたのでそろそろかなとは思ってるんですけど。
私も早く読んでTBしたいよー

あ、話は変わりますが、トップのヒツジさん画像。
これって、もしかして香ったりします?
あれーーなんか1回これに関してMikiさんに前質問しましたっけか?
もー物忘れがひどくてやんなっちゃう。
私ね、このヒツジさんとクリソツのアイピロー持ってるんですよ。
これがもうちょっと横長になった感じでラベンダーの香りの。
でもそのラベンダーがいかにも合成っぽい匂いで気持ち悪くなっちゃうので、天日に干してたんですが、これがなかなか取れなくって・・・
形は可愛いので飾ってます。同じシリーズじゃないかなー
  1. 2007/02/18(日) 17:27:00 |
  2. URL |
  3. lazybug #79D/WHSg
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No title

◆yurinippoさん、
や~、わたしも、ゲドならyurinippoさんにコメント頂けるんじゃないかと期待してました。どうも~、です。

いや、ゲド戦記(ますますこの名称がズレてきてますが・・・)、5巻は2001年出版とかで、例の9.11の影響まで見られるそうですね。
まあ、読むと思いますが・・・。
外伝は、読むかどうかちょっとわかんないかな~。短編集らしいですね?
それよりも私は早く「パーンの竜騎士」シリーズに移りたい・・・。
  1. 2007/02/18(日) 22:22:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
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No title

◆ayakoさん、
そういえば、ayakoさんが図書館から本借りた、という話は聞いたことがないような・・・?
お兄さまはずい分本を持っておられそうですねぇ。
私もayakoさんとこからTBもらって来たいですよっ(^^)

うんうん、あのヒツジ、匂うよ(「臭う」じゃないゾ)。
あ、「香る」か・・・。
(ううん、初めてのご質問です。物忘れは、自慢じゃぁないが、「lazyMikiか関口巽か(関口巽については、yurinippoさんまたはkyuraさんにお尋ね下さい)」というぐらい、私のレベルは高いよ。)
ラベンダーね。そう。これ、ラベンダー・ポプリ入り昼寝マクラです。
確かに、匂いが強いから、顔の上に乗っけて寝るのは酔うかも。
同じシリーズだよ、きっと。私は群馬のラベンダーファームみたいなとこで買ったけど、ショップ・インとかでも見かけます。
  1. 2007/02/18(日) 22:36:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
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No title

あーやっぱりそうかー
なんかそっくりだけどどこか違うような・・・・って思ってたんです。
そして質問はしてなかったんですね、良かった・・。

でもポプリが入ってるんですね。
私のはアイピローの中身のビーズに恐らく何かのフレグランスを染込ませてあるんでしょうけど、なんだか天然っぽくないんですよ。
ラベンダーの香りは好きなのに、これはダメ。
あーでも同じシリーズで1つは本物1つは偽物の花って事はないのかなぁー
って、調べればいいんですね。今から調べます。
っと思ったらもう1時半。寝なきゃ。

これ、カバーが洗えていいですよね。
  1. 2007/02/19(月) 01:36:00 |
  2. URL |
  3. lazybug #79D/WHSg
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No title

何度もすいませんです。
寝る前に調べてみました。

http://www.inobun.com/genre/relax_fragrance/relax_goods/eye_pillow_misc/index.html

どうやらMikiさんのもポプリではなくて香り付きビーズみたいです。
それにしてもこんなにたくさん同じシリーズであるとは知りませんでした。
うつぶせ枕とか足枕とか抱き枕とか・・・・テレビ枕さえありました。
お値段的にもなんだか揃えたくなってしまいそうです。
  1. 2007/02/19(月) 01:42:00 |
  2. URL |
  3. lazybug #79D/WHSg
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No title

◆ayakoさん、
(ふたつ一緒にお返事させて下さいね~。)
えーっ!香り付きビーズぅ?そんなハズないよぅ、これはポプリだよぅ・・・とか思って、ヒツジのおなかの中を見てみれば。
――あら、ビーズだ。
はぁ~ん、だからこんなに強い(ちゅかキツイ)匂いなのねー。
(しかし、こんなことまで調べがついちゃうなんて、ネットって大したもんだねー。)
私、ポプリの方がいいなぁ。ま、買って来て入れ替えればいいのか。
昔北海道のお土産にもらったラベンダー・ポプリ、すごく香りが気に入っていたのだけど、ラベンダーってひとつひとつの花が小さいじゃないですか。それでぽろぽろぽろぽろこぼれちゃって、いつの間にかなくなっちゃったんですよね。
夜中に調べ物とか始めると、ついつい夜更かししちゃいますねっ(^^)
しかし、テレビ枕ってなんだろ?
  1. 2007/02/19(月) 23:16:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
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No title

帰還読みましたよ。えーと、Mikiさんが結末があまり好きじゃなかったというのは
カレシンが最後に、デウス・エクス・マキナのように解決してしまうからなのでしょうか?
確かにさいはての島の、最後の竜たちのように、匂いや熱さや強さがストレートに
伝わってくる、すばらしさはありませんでしたけれど。

ちょっと思ったのは、完全に読者の対象を子供から大人にシフトしたんだと思います。
私はそこはやはり、20年近くの歳月を感じました。
ゲドとテナーの、男女論の議論している部分は、フェミニズムを強烈に感じましたし。
時代背景から、DVなど暴力的なものに対するメッセージと
リタイアした夫婦の理想的な生活を、表現したかったのでしょうか?

  1. 2007/06/06(水) 20:12:00 |
  2. URL |
  3. bullet4071 #79D/WHSg
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No title

◈bulletさん、
う~ん・・・一番「むむぅ」と思ったのは、ゲドに魔法が戻って来なかったことかなぁ・・・。
と、書くと、ものっすごくお子チャマ風なラストを期待していたように聞こえますが・・・。
いえ、期待していたような。
そういう意味では、bulletさんがおっしゃるように、作者が念頭に置いている読者層が子供ではなくなった、というのが当たりかも、です。
で、私がそれに付いて行ってないんですよ。

――なんで途中からそうシフトするかなぁ~・・・、と。
20年の歳月とか、フェミニズムとか、特に「帰還」は色濃かったと思います。
そういう作品もあってよいとは思うのですが、現実を大きく感じさせるFTというのは、「これは夢なんだ、早く覚めなくちゃ」と感じさせる夢みたいで、実際に目覚めてしまって思い返しても、「疲れる夢だった・・・」って思っちゃう、みたいな。
(おほほほ~相変わらずわけわかんない書き方で済みませぬ~・・・。)
  1. 2007/06/06(水) 20:27:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
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