本と旅とそれから きつねのはなし/森見登美彦

本と旅とそれから

きつねのはなし/森見登美彦


す、好きだ~~!
こういうお話、ものすごく好き。
森見さんのデビュー作「太陽の塔」が日本ファンタジー大賞を取ったことについては、「えっとー、まぁ、FTと言えなくもないという気がしなくもない・・・」てな感じでしたが、これは。
素晴らしき日本のファンタジー。
文庫になったら絶対買うぞ。

  「太陽の塔」の感想はコチラ
きつねのはなし/森見登美彦(新潮社)

四つの中編集。
「太陽の塔」と同じく、いずれも京都が舞台です。

「太陽の塔」では、文のクレバーさ(また出た)にずい分目がいきましたが、本書はそういうものはなくて、とてもしっとりと落着いた語り口でした。

なによりも素晴らしいと思ったのは、物語の雰囲気。
古都京都が舞台だからといって、それだけでここまで創れるものではありませんものね。
さわさわと鳴る竹薮の表情、何かを予言するかのように流れる雲の様子、何と言い表したらいいのか困ってしまうような暗闇の匂い・・・。

不安で小暗くて怪しくて怖いんですよー・・・。

結構ラヴクラフトしてるんですよね、これ。
一番怖いのは最後の一編「水神」ですが、これなんかはかなりクトゥルー色が感じられると思います(といっても、私がラヴクラフト読んだの、もうとんでもなく昔でほとんど忘れてますが)。でも、あとはさっと、背筋を冷たい指でひとなでするくらいのところにとどめてあって、その代わりに、京都のしっとりとした雰囲気が香りたっているのでした。
だから京都好きにはたまらない――と言おうとして、ちょっと待て。

「京都が好き!」と言って3日か4日ずつちょこちょここの町を訪れるだけの観光客(私ももちろんそのひとり)には、この雰囲気はなかなか味わえない気がします。
特に、混んでるところばっかり歩いていてはね。
あ、だからいわば「憧れの京都の怪しさ」みたいなものをこの本に感じて感動するのかな?

次に京都に行く時は、きっと森見色が濃~く出た旅をしてしまいそう。
っても、一乗寺とか南禅寺とか、「またかい?」ってしのちゃんに呆れらるかも・・・そうだ、吉田神社に行こうかな。

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tag: 森見登美彦 
  1. 2007/08/27(月) 19:37:00|
  2. 2007
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相変わらず読書家なMikiさん、感心しています。
「京都が好き」って言ってる私も、怪しい雰囲気には
興味津々ですよ。早速メモしました。
ありがとうございます。
  1. 2007/08/27(月) 22:50:00 |
  2. URL |
  3. chiyomi #79D/WHSg
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No title

ああ、そうかー。
「憧れの京都の怪しさ」ですね!それですそれです!
Mikiさんに気に入ってもらえてよかった。(って私が書いたわけじゃないですけど)
もしこの雰囲気がお気に召したのならば、
梨木香歩さんの「家守綺譚」もすごくオススメです。ぜひ。

私もTBいただきますね~。

追伸:「蚤がリュックしょって富士登山」は2番じゃないのですか????
30年間信じていたものが、今足元から崩れ落ちていきました。(大げさな…笑)
  1. 2007/08/28(火) 11:16:00 |
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  3. yurinippo #79D/WHSg
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◈chiyomiさん、
読書家・・・というと、何となくとてもエラい人みたいですが、私の場合読書は現実逃避の手段という色彩が強いんですよね~。
何かしなくてはならないことがある時ほど本が読みたくなる、困ったヤツです。

雰囲気のある物語って素敵です。
chiyomiさんも京都大好きな人だし、気に入って頂けるんじゃないかなぁ。
どうぞお試し下さい♪
  1. 2007/08/28(火) 18:35:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
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◈yurinippoさん、
おっしゃっていた通り、「太陽の塔」とはまたずい分感じの違う作品ですね。
まず、文体がかなり違うし。文章の軽妙さで読ませた感がなくもない「太陽の塔」と違い、落着いた、淡々とした語り口の「きつねのはなし」、すごく好きですよー、こういうの。

梨木香歩さん「家守綺譚」・・・メモメモ。
せっかくのおススメなので、それでは是非。

「アルプス一万尺」って、ブログネタにして、解けたナゾと同じくらいの量、新しいナゾができたような・・・。私の知らない2番があったんですねぇ。
私も、親しい友人の二重生活が暴露されたのを知る思いでございます(これまた大げさ)。
  1. 2007/08/28(火) 18:45:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

アルプス一万尺は、やはりヨーロッパのアルプスではなく、日本アルプスの
歌のようです。Wikiで調べて見ましたが、”歌詞は全部で29番まであり、槍ヶ岳から西穂高岳や奥穂高岳、穂高岳をめぐり、上高地へぬける内容となっている。”そうです。
なんと京大山岳部の部員が歌詞を作ったという説もあるようですが、定かではないらしい。

ラブクラフトですか?ゴシックホラーですね。ちょっと興味がありますが、トイレに
いけなくなったら困ります。
  1. 2007/08/28(火) 21:28:00 |
  2. URL |
  3. bullet4071 #79D/WHSg
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◈bulletさん、
あれ、ウィキにも出てましたか!違うサイトばっかり見てました。
私も、「大正池」とかいう固有名詞見て、「あ、こりゃスイスなわけはない~」と思いました。
もー、気取るんだからー、アルプスじゃなくて、飛騨連邦一万尺とか、立山連峰一万尺にしてよー、私みたいなおマヌケがスイスだと思うでしょー、です。

せっかく、ハイジとかクララとか思ってたのに、いきなり加藤文太郎ですよ。
(いや、加藤氏は素晴らしい登山家だと思いますが・・・。)
「おやじの笛」はどうなんだよー・・・ぶちぶち。

ラヴクラフト、ピンと来ましたか、さすが同年代(bulletさんのがお若いとは思うんですけど)!「ダンウィッチの怪」とか、どろどろ怖いですよぅ~。
くら~い廊下の突き当たりにはご用心・・・。
  1. 2007/08/29(水) 19:39:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
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「家守奇譚」、不思議な感覚の本で、私は大好きです。読んだことが心に染みる本でした。オススメです。読んで以来、庭木が何か意志を持っているように感じます。
  1. 2007/08/29(水) 20:01:00 |
  2. URL |
  3. barnes_and_noble #79D/WHSg
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◈barnesさん、
おっ、yurinippoさんとbarnesさんとにダブルでおススメ頂いたからには、これはぜーったい読むべし、ですね。
実は、もうすでに図書館に予約入れまして、ラッキーにも「待ちゼロ」だったため、すでに「用意できました」の連絡もらってます。取りに行かねば。
次の週末はさっそく「家守奇譚」ですよ~♪
ありがとうございます(^^)
  1. 2007/08/30(木) 23:43:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
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No title

こんばんは。
この物語の持つ雰囲気、とても気に入りました。
それにしても、『太陽の塔』や『四条半』とは趣が全く違いますね。

さて、次は『〈新釈〉走れメロス』あたりを読もうかと思ってます。
  1. 2008/07/21(月) 20:28:00 |
  2. URL |
  3. bananan_bou #79D/WHSg
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◈ばななさん、
どうも~^^
この作品は、目下のところ、森見作品のマイ・ベストです。
セカンド・ベストは・・・「有頂天家族」かなぁ。
「夜は短し歩けよ乙女」も人気高いですよね。

次は「メロス」ですか?
遠からず森見作品は制覇されそうですね?
(ちょっと気が早いかしら・・・^^;)
  1. 2008/07/21(月) 21:05:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
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