本と旅とそれから 精霊の守り人、闇の守り人/上橋菜穂子

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精霊の守り人、闇の守り人/上橋菜穂子

仲良くして頂いている本読みブロガーさんたちが、次々読んでおられるらしきこのシリーズ。
そもそも児童書として発刊されたものが、最近文庫化され始めたこともその理由のひとつでしょうか?

当初、「ウエハシナコ」で検索してヒットせず、「うちの図書館にはない!」と諦めておりましたが、最近再び「ウエハシナコ」で調べたら、どうやら何冊も入っている様子。
それでは、ということで読み始めました。


精霊の守り人(新潮文庫)
闇の守り人(偕成社)/上橋菜穂子


堅苦しい話になりますが、これまでにも何度も考えた「日本人作家の手になるFTっていったい?」ということを、この作品に接してまたあらためて思いました。

その点、第1巻の解説に恩田陸さんが書いておられること(解説が充実しているところなんかは、文庫版はいいですね)にはかなり共感しました。かなり厳しい調子で、昨今の「亜流異世界ファンタジー」作品を「カードゲームを文字にしたような」、いやそれ以前の問題として「世界の構築すらしていない」と批判しておられました。
うん、人気作家さんが書かれると、説得力あってよいな♪
私もそう思う作品多いです。

で、この上橋さんの作品は、それらの作品とはそもそも「モノが違う」と。

同じ文庫版のあとがきとして作者自身が佐藤さとる、いぬいとみこその他の作家の名を挙げて、こういう作品を書きたかったのだ、とも述べておられます。
うんうん、もしこのシリーズがそうした素晴らしい作品と同じ「何か」を志して書かれたものなら、そりゃあ素晴らしいはずでしょう。

――というのは、考えてみればちと邪道な感想文のもっていき方ですね。

自分がこの本を読んでまずどう感じたかといえば・・・。

1巻目は正直に言うと、まだ作品のリズムに完全に慣れられず、ちょっとぎくしゃくした感じがありました。
もしかすると、「児童書はかなり読んだぞ!」なぁんて思っていたクセに私、最近ご無沙汰していたせいで、児童書のリズムを忘れていたのかも。

しかも、人の体の中に異なる生命が巣食う、というコンセプトが、どうしても「エイリアン3」を思い出させてしまいまして・・・。
ちょっとグロテスクな映像がサブコンシャス的にですね・・・(^^;

それが2巻目に入ると、リズムにも慣れ、しかも「偕成社」の大きな児童書版で読んだものですから、平仮名表記もルビもかえってしっくりきちゃって、すごく快適。
大人向け作品には時々ぷんぷん臭う、読者ウケを意図したようなキャラ(のように私には思える)なんかもいないし、「いいな~、爽やかだな~、これだから児童書は好きサ♪」でした。

で、作中、特に2巻目などでは、筋立て・・・というのか、ストーリー展開よりも、登場人物たちのメンタルな面をとても重視して書かれているのが、児童書であって児童書の枠にとらわれない点じゃなかろかと思います。
大雑把な善玉・悪玉の区分けはなされているけど、善玉にもそれなりの屈託があるし、悪玉にもそれなりの言い分はある。戦いに勝ってなお残るそこはかとない悲しさ。
最近の児童書ってほとんど読んでないのですが、こういうの、なかなかなさそうな・・・。

正直に言うと、私はこの作品ぐらいでもまだ、「日本人がカタカナ固有名詞のFTを書くこと」をホンモノとして受け入れられないオババ的感覚があるのですが、この作品には、単なる西洋FTの摸倣ではないユニークさがある、という気もします。
それが佐藤さんの「コロボックル」や、いぬいさんの「小人たち」のように輝くところまでいくのか、この先がすごく楽しみです。


webcitron01.gif


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tag: 上橋菜穂子 守り人シリーズ 
  1. 2007/11/07(水) 21:59:00|
  2. 2007
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No title

本当に恩田陸さんの解説は、彼女のちょっとほっぺを膨らませた顔が目に浮かぶような気がしましたよ。もちろんそんな顔は見た事もなければ面識すらないんですけどね(笑)。
私は本来、本は楽しけりゃ良いじゃん的な感覚で読んでいますが、それでも世界の構築がしっかりしている物語は手放しで喜べるというか、読んでいて安心感があるような気がしていました。
デルフィニアなどはその点ではかなり危うい部類に私の中では入っています。
あれはまさに「楽しけりゃ良いじゃん」の代表作のような本でしたから・・・・
あれはあれで大好きな作品でしたが突っ込みどころも結構満載ですよね(笑)

新潮文庫・・・・早く出て欲しいですね。
値段も大きさも軽い方がありがたいです(笑)。
  1. 2007/11/08(木) 11:56:00 |
  2. URL |
  3. lazybug #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

早いですねー、もう読まれたのですねっ♪
なるほど。Mikiさんらしい感想です。
私も正直、最初のあたりは何かぎくしゃく感はありました。
でもそれぞれの微妙な心理状態の描写や展開が
やはり翻訳モノとは違った日本人が書いた独特の世界観が
あって、特に善と悪との境界線をハッキリさせすぎないところが
大人のファンタジーなのかしら・・と。思ったのですけど・・。

それにしても「いぬいとみこ」って懐かしい~。
  1. 2007/11/08(木) 23:16:00 |
  2. URL |
  3. chiyomi #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

◈ayakoさん、
「楽しけりゃ良いじゃん」は、本読みの基本だよね。
勉強とか調べものとは違って、楽しみのために読む本は、まずは楽しくなくちゃね。

だから、楽しみのために本読んで、日本人のFTがどーのこーのとウルサいことを言う必要もないという気が、実は私もしないでもないのだけど(^^;
つい、恩田さんの解説に共感しちゃうところがあったもので。

デルフィニアについては、「楽しさ」はホントにたくさんあって、エンターテイメント作品としてはとっても良いと思います。私も楽しんだし。
あえて言うなら、その楽しさがコミック的な楽しさだったな、と思うってことで。
「大好きだけど突っ込みどころもいろいろ」という感覚、わかるわかる。
私も、例えば「銀河英雄伝説」なんかについてはそう思うな。
田中芳樹さん自身、その点はすごく自覚されているフシがあって、でも、それでいいんだと開き直っておられるようで・・・多分。
いろんな本があるってことですにゃ。(安易な閉め方でゴメンなさいっ。)
  1. 2007/11/08(木) 23:56:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

◈chiyomiさん、
>善と悪との境界線をハッキリさせすぎない
あ~、そうですね、それって、まさに。
ナルニアも指輪もすごくハッキリしてますもんねー。
ナルニアなんかについては、よくキリスト教的世界観などと言われますよね。ルイスが神学者だったし・・・。

そうそう、大人のFTっぽいですよね。
あたしゃ、「うーん、これはガンダムだな」とか思いました。
シャア大佐のキャラクターがですね、敵ではあるが悪者ではない、という。
――て、何の話をしてるんでしょうかっ。

いぬいとみこさん、実は私、この方の本はロクに読んでおりませんの。
「ムーシカミーシカ」とか「ぎんしょきしょき」とか、読んだのかなぁ・・・覚えがない・・・。
「小人たち」は読んで、とても印象深かったです。
佐藤さとるさんのコロボックルシリーズと併せて、小人伝説(神話かな)は日本古来のものなんだな、と、とっても感心しました。
  1. 2007/11/09(金) 00:07:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

Mikiさんとこの図書館にもあってよかったです!
このシリーズ(つってもまだ2冊ですが)は「子供の時にこういうの読みたかった!」
と心底思った本だったので、児童書コーナーにあるのは大歓迎なのですが、
出来れば大人用のところにも置いて欲しいです。(笑)
佐藤さとるさん、いぬいとみこさん、んー、たぶん読んだことありません。
それと知らずに読んだことがあるのかも知れませんが。
今度探してみようかな。(うう、またリストが長くなってしまう…)
  1. 2007/11/09(金) 15:44:00 |
  2. URL |
  3. yurinippo #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

ご、ごめんなさい!!
なんだかPCの調子(かな?)悪くて、何度も送信ボタン押してしまったら
たくさんTBが付いてしまいました…
大変申し訳ありませんが、ダブっている分を消して置いていただけたらと思います。
ホントごめんなさいっ!<(_ _)>
  1. 2007/11/09(金) 15:59:00 |
  2. URL |
  3. yurinippo #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

◈yuriさん、
あ、おかえりなさい(^^)
トラバの件、了解しました。多分、yuriさんのPCじゃなくて、エキサイトのサーバのせいじゃないかと思います。
ここのとこ、またちょっとUPが重いような気がするんですよね・・・。

佐藤さとるさんの「だれも知らない小さな国」、私がこれまで読んだ和製FTで、ダントツの最高です。是非yuriさんにも読んで頂きたいです。
以前は講談社文庫にあったのですが、さっきAmazonで見たら、新本はないみたい。
でも、ユーズドで1円(またかい!)で出てましたぞっ。素晴らしい物語です。

乗りかかった船じゃないですが、この際なので、この「守り人」「旅人」とも、偕成社のでっかい本で読んでしまおうかと思ってます。
それと、これまで読もうと思いつつ後回しにしてきた数々の日本のFTの名作を、やっぱり読もう!と思いました。来年のテーマ(鬼よわらえ~)にしよっと。
  1. 2007/11/09(金) 22:24:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

TBさせていただきました。

評判どおりで、すごくよかったです。
東洋的な身近に感じられる世界感で、物語にのめり込みやすかったです。
  1. 2007/12/29(土) 10:33:00 |
  2. URL |
  3. タウム #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

◈タウムさん、
トラバ、スパム防止のため制限していたので、うまく受信できなくてすみません。
しばらく解除しておくことにしますね・・・。

この本は、仲良くして頂いているブロガーさんたちが絶賛しておられたので、私も読んでみたんです。タウムさんも「すっかりまいった!」て感じですね(^^)
私は独特の世界を作っておられるなーと思ったし、最後まで一気に読んでしまったんですが、皆さんのレベルにはいま一歩届かなかった感じです。
でも、シリーズこの先も読むつもりです♪
  1. 2007/12/29(土) 20:49:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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