本と旅とそれから 夜は短し歩けよ乙女/森見登美彦

本と旅とそれから

夜は短し歩けよ乙女/森見登美彦


以前、森見氏がNHKの「トップランナー」という番組に出演することを決めたきっかけとして、ご自身のHPにまるで言い訳のように「司会の本上まなみさんとお話する機会を逃すことができず・・・」といった主旨のことを書いておられました。

ははは、森見さん、本上さんのファンなのね、と思ったけれど、何となく、この本のヒロイン「彼女」のイメージは本上まなみさんにかぶります。
年齢的な差はもちろんあるけれど・・・艶やかな黒髪の、妖精のような女の子。
夜は短し歩けよ乙女/森見登美彦(角川書店)

この文体。
まさにクレバーなというか、センスとリズムでポンポン読ませる・・・。私は森見さんの本はデビュー作「太陽の塔」、「きつねのはなし」に続いてこれが三作目なのだけど、「きつねのはなし」がこういうよく言えば小粋な、悪く言えば小生意気な匂いをあっさり脱ぎ捨てた文体で書かれていたので、この「夜は短し」はどうなのでしょ、と思っておりましたが、クレバー路線に回帰したんですね。

こうした作品で森見さんが次々とヒットを飛ばすのを見るにつけ、私の目には同じカラーの作家さんである伊坂幸太郎さん、次の作品はどうなっているのやら。
ま、よいのですが。

物語の背骨は恋愛小説――昨今珍しいような奥ゆかしい恋愛小説。
が、同時にこれは大したナンセンス小説でもあります。
本来ナンセンス小説を大の苦手とする私ですが、森見さんのナンセンスはなぜか「ばかばかしい」と思う前に感心してしまう・・・「そうきたか、うまいっ!」と。

どのくらいかは知りませんが、きっと京都への観光客の数をかなり増やしているだろう森見さんの京都を舞台にした小説。
本書と、すでに傍らにひかえている同じ森見さんの「有頂天家族」は、今月下旬の京都行きまでに図書館の予約待ち順が巡って来そうになかったので、自前で買ってしまいました。
未読の単行本を買うなんて、とんでもなく久しぶり。

現実離れした、不思議にして興味深い出来事の数々が起きる京都のあちこち。
深夜の先斗町。真夏の糺の森。学祭まっただ中の京大キャンパス。
(私が前回京大前を通った時、そういえば学祭をやっていたようなのですが、キャンパスでボヤ騒ぎがあったらしく、消防自動車が何台も押寄せていてその印象ばっかり・・・。)

これほど京都という町の地名を数多く登場させ、それをスパイスのように効かせて物語を香り高く仕上げてしまうというのも・・・すでに森見スタイルとでも呼ぶべきでしょうか。
最近の新聞インタビューでは、近いうちに京都を離れた物語を書く、と話しておられたようですが、それもまたどういうものになるのか、興味をひかれます。

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tag: 森見登美彦 
  1. 2007/11/12(月) 19:56:00|
  2. 2007
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No title

>きっと京都への観光客の数をかなり増やしているだろう…
私のことですか?(笑)
でもって、みんな真似して京都の町を歩き回ってはヒザを痛くしているに違いない!
(それは私だけか…)

黒髪の乙女って、ほかの森見作品にもたびたび登場しますけど
この「夜は短し」の黒髪の乙女が一番本上まなみさんのイメージに近いような。
(ご本人は否定しておられるようですけど)
「太陽の塔」のまなみ号は…ありゃ自転車か。(笑)
「有頂天家族」も、楽しみですね!
  1. 2007/11/13(火) 14:01:00 |
  2. URL |
  3. yurinippo #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

◈yuriさん、
そう、きっとyuriさんもそのおひとり。
ご存知「夜は短し」冒頭の木屋町のバー「月面歩行」のHP見ると、しっかり「夜は短し」に出てくるお店、みたいなこと書いてあるし、いろんな方のブログ記事を読ませて頂いていると、森見さんの本を片手に京都散歩している人って結構いそうな気がします。
皆さま、おヒザにはご注意を。
ちなみに私の不安はむしろ腰でございます。

「有頂天家族」を開く前に、数冊やっつけねばならぬ本が。
そして今日も「京都紅葉情報」をにらんで唸るワタクシ。
  1. 2007/11/13(火) 22:18:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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