本と旅とそれから SOSの猿/伊坂幸太郎

本と旅とそれから

SOSの猿/伊坂幸太郎

「西遊記」が好きな人は、きっとこの本も楽しまずにはいられないと思います。
私もひっじょーに好きなのです、孫悟空の物語が。
あーもう、面白かったっ。



SOSの猿/伊坂幸太郎(中央公論社)

でも、巻末の参考文献に挙げられている、岩波文庫版「西遊記」は面白いとは思わなかったんですけど。私はかつて刊行が始まってすぐに読み始めたため、3巻目ぐらいで出版待ちみたいになって途中で挫折しちゃったのでした。
私のオススメは、福音館書店版です♪――児童書ですが。
面白いですよ~!


にしても、複雑な構造の物語。
時間も行ったり来たりしますし、現実だと思って読んでるとあれは予言の話だったのよ、ということになってそこで初めて現実が語られたり。

しかも、正体不明の猿が出てくるし。

これが孫悟空だというのですが、そのこと自体すでに荒唐無稽というか、わけわかりません。
どうして、登場人物があのヒトもこのヒトも「西遊記」の話を始めるんだか。「西遊記」ファンクラブ会員にあふれた物語世界だこと。

・・・なので、「私もまぜてまぜてェ!」です。

まるっきり余談ですが、はるか昔、NHKで「シルクロード」というシリーズ番組がありました。あ、一番最初のシリーズのことです。あまりにも昔なので詳細はほとんど忘却してしまいましたが、ゴビ砂漠だかどこかを行く回で、あまりの炎熱に、地面からかげろうが立ち上るんですね。で、あたりの風景がゆらゆら揺れる。その空気のゆらめきを通して遠くの山を見る時、その山がまるで火焔の中にある山のように見え、それが「西遊記」では火焔山として描かれた、というのでした。

石坂浩二さんの語りでそれを聞いた時、すでに(高校時代ですね)「西遊記」ファンであった私はいたく感動したものです・・・。

閑話休題。
伊坂さんの近作は、それ以前の性善説的明るさ、楽観さが影薄くなってきている感じでしたが、「SOS」ではそれが復活した感じで、読んでいて嬉しかった!

近頃は、他人を不幸にするためだけに存在しているんじゃなかろーかと思うような人のことばかり報じられるため、ニュース番組を見るのがイヤになるほど。
そんな中で、人を救いたいという気持ちは人間の本能の一部である、と真正面から肯定してかかる作品の清々しいスタンスに、「これぞ伊坂作品!」と、バンザイ三唱(キモチ的に)。

泣いている人を見たら助けたいと心で思っても、力及ばず、勇気が足りず、そうできないことは多い――むしろ、大抵は助けることはできない。でも、基本的には誰もが、少なくとも助けたいと思うことは思う・・・と、信じたい。
海堂尊さんの小説もそうなんですよね・・・作風その他は全然違うんだけど、そういった、「人間の本性は善だ」と、臆面なく言い切るようなそのきらめきみたいなものがね~・・・好きなのよー・・・。

なお、「西遊記」ファンとしては、作品最後の一文にやられます^^。


webcitron01.gif


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tag: 伊坂幸太郎 
  1. 2010/06/11(金) 21:49:00|
  2. 2010
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コメント

時間が前後するのがちょっと難しかったですよね。。
でも私も、とっても面白かった!
西遊記、もう一回読もうと思って子どもの部屋から借りてきました。

そう!それだ!性善説的なところがいいんですよね!!
って、言いたかったことを言葉にしてくれてありがとうございます!!

伊坂さんといい海堂さんといい、予約入れたのに
図書館からなかなか回ってこないのです。
待ち遠しいです~~。
  1. 2010/06/12(土) 21:50:00 |
  2. URL |
  3. yurinippo #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

西遊記好きでーす。

ちゃんと中国っぽいイラストとかのが売ってたりするとどうしても気になって手にとってしまいます。

でもきちんとした本の西遊記はたぶん読んだ事がないかも・・・ないと思います。
小さい時まちゃあきのドラマは観てましたが・・。

あと絵本も読んだ事あったような。

伊坂さんかぁ~気になるな。
前に1冊だけ読んで面白かったと感じたはずなのに、なかなか私には縁がない作家さんではありますが、これは気になるので本屋で探してみます。
あ、もしかしてまだ文庫になってません?


  1. 2010/06/12(土) 22:28:00 |
  2. URL |
  3. lazybug #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

To yuriさん、
そうですよね~。
で、予言のことが何のことわりもなく、現実みたいに書かれているのも最初は「なんだよー」と思ったりしましたが。
でも、面白かったからいいです。

先日、坂口安吾を読んだ時、ものすごくシビアな現実が描かれている部分があって、しかもそれが深くうなづけてしまったりするものだから、結構どんよりしたんですよね。
人間なんざ、所詮そんなもんヨ、みたいな感じでね~・・・。
ま、それはそれでいいんですけど、あたしゃ好きな作風じゃないよ、と思いました。

私も伊坂、海堂、万城目作品待ちです。
森見さんのは、出版前にリクエスト出したんだけど、あれはどうなったのやら・・・^^;
  1. 2010/06/13(日) 21:05:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

To Ayakoさん、
マチャアキのって、夏目雅子さんのだね。
私、見てはいなかったと思うのですが、何だか印象には残っています。
私は、大昔にアニメか何かを見た記憶が・・・ま、有史以前ですけどね。
中国で発行された西遊記のシリーズ切手買って、その図案をサル年の年賀状に使ったりしましたよー。
ちなみに、姪っ子MMも幼稚園の学芸会で西遊記をやったため、結構詳しくて、MMと私はレベルの高い西遊記ファンの会話を交わしております(ふふん♪)。

「SOSの猿」はまだ文庫になってないですねー。
これって、コミック作品と連動してるらしいんですよね。
私はそっちは読んでませんが、面白そうではあります。
  1. 2010/06/13(日) 21:11:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

「SOSの猿」は図書館に予約中です。数日前に「魔王」を読み、作品の重苦しさに伊坂作品は「重力ピエロ」くらいが私の限界なのではと思っていました。・・・が、「SOS」はいくらか読みやすいようで、一安心。今、私は「船に乗れ!」読んでますよ~。
  1. 2010/06/14(月) 00:44:00 |
  2. URL |
  3. barnes_and_noble #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

To barnesさん、
「魔王」って、ほかとちょっと違いますよねぇ・・・。
政治的なメッセージは特にない、とことわり書きがあったように思いますが、「そー言われてもねー」って感じだったかと。
「SOS」は、シビアな要素もあるんですが、全体的に明るかったです。

「船に乗れ!」って、よくわかんなかったのでググったんですが(←賞とかの情報に疎い!)、面白そうなんですね!
感想、ブログUPを待ってます。
  1. 2010/06/14(月) 21:50:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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