本と旅とそれから ゴールデンスランバー/伊坂幸太郎

本と旅とそれから

ゴールデンスランバー/伊坂幸太郎

うちの図書館で普通に予約を入れていたら、まあラクにあと半年は回って来なかっただろうと思われる、伊坂さんの最新作――でもって、多分彼のこれまでの作品の中では最長編。

yuriさんが、去年下半期に読んだ本の中でこれが一番だった、と熱く書いておられた1冊。
たとえ直木賞にノミネートすらされなくても(やっぱりなの?)、それで私にとっては十分「読みたい!」ゴコロを刺激される一冊となったのでした。
・・・で、刺激したご本人に貸して頂いちゃいました。


ゴールデンスランバー/伊坂幸太郎(新潮社)

えーっと、まずは単純に、「面白かったか?」という点について言いますと――面白かったです!とっても面白かったです。

なので、かなりの長編でしたけれど、途中でダレることもなく、ぐいぐいとラストまで引っ張って行かれましたし、そのラスト近くに来ると次第に、読み終えてしまうことへの軽い失望感も漂ったりいたしました。

やっぱり小説は面白いのがなによりですよねえ。

伊坂さんのこれまでの作品の中では・・・まずとにかく、一番長いし(ですよね?)。
同じくらい面白い作品が二つあったら、長い方をより良しとするタイプですよ、私って。
前作「フィッシュストーリー」(►感想はコチラ)には少々もの足りなさを感じましたが、今回は抜けたところもなくて、伊坂作品にしては珍しく重厚感すら感じました。

序盤から、読んでいてとにかくケネディ暗殺事件と、ジョージ・オーウェルの「1984年」のイメージがずーっとつきまとってました。
どちらも、暗い話ですよね。

ケネディ暗殺事件って、今生きている人の中で真相を知っている人っているのかしら?
アメリカ大統領なら知っているのでしょうか。真相は、とんでもない話なのか、それとも、かえってウソくさく思えるほど単純なことだったりするのか・・・。
「1984年」は、題名と同じ年に読みましたが(流行ったの)、本当に恐ろしさに寒気がするような本でした。監視社会、暴力、洗脳。うぅぅ~っ、思い出してもぞっとする。

そういう暗さ恐ろしさが暗雲のように広がる中に、伊坂流の涼やかな風のような、ほのかな光のようなものがしっかりと感じられるんですね。
こういうのって、作為的にやろうとしてできることなのかしら。
伊坂幸太郎という作家さんに自ずとそなわった天稟のように思えますが・・・。
そして、これこそがこの作家さんの作品の最大の魅力と思えるのですが。
(もしかして私、伊坂本の感想文でいつも同じこと言ってるかしら。)

読んでいる間、安心してました。
伊坂さんの作品なら、ネガティブな終わり方はしない、って。信頼といっていいかも。
彼の他の作品にももちろんこれは共通なんですけど、「ゴールデンスランバー」の場合は状況が他に輪をかけてゼツボー的なので、際立つのですね。
そういうのを好まない人もあるかも知れないけど、だって例えば「1984年」の読後感みたいなのって、わたしゃイヤですよ。ちょっと読んだことを後悔しちゃったもの。

にしても、「魔王」でもそうだったけど、これって何か社会的なメッセージってあるのかなぁ。
ものすご~~くありそうな雰囲気なのですが・・・。
今回は特に「ない」という断り書きはなかったですね。

伊坂さんのこれまでの本でこれが一番好き・・・かどうかはわからないけど、のめり込める長編ということで、た~いへん結構でした(^^)

(蛇足ですが、「死神の精度」、映画化されるんですね。金城武さんの死神で。
いやー、イメージぴったり~。見るぞ~。)

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tag: 伊坂幸太郎 
  1. 2008/02/04(月) 20:06:00|
  2. 2008
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1984年!大大好きな本です
過去私が読んだ伊坂本はどれも面白かったし、私も今度これよんでみますね
  1. 2008/02/04(月) 20:48:00 |
  2. URL |
  3. 花侍 #79D/WHSg
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No title

◈花侍さん、
わはは、そっかー、大大好きでしたかー、「1984年」。
すごい迫力ある本ではありましたねぇ。
なんかうなされそうな気がしましたが・・・。

是非お試し下さいませ、本書。
まずハズレることはないでしょー。
  1. 2008/02/04(月) 20:50:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
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No title

うっ…読みたい!
これ新聞で評されてて、それがすっごく面白そうで
伊坂さんの作品だから間違いないだろうしってことで気になってたんですよ。
にしてもさすがlazyMikiさん。
本の紹介もネタバレしてないのに興味を引っ張ってくれますね。
そっか、上手い文章だからなんだあ…とつい納得。
ここ最近、本当に本を読んでなくて自分でもびっくりしてるくらいなんですよ。
寒さのせいで図書館に行けてないですし~。
私も短編と長編があると長編を選んでしまいます。
伊坂さんのなかでも最も高い評価をうけそうなこの作品。
でも構えることなく伊坂作品の世界に溶け込みたいですねv
  1. 2008/02/04(月) 20:51:00 |
  2. URL |
  3. mattya-genmaitya #79D/WHSg
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No title

◈mattyaさん、
うっ、嬉しい・・・(こう、袂でよよっと目を押さえる感じですよ・・・)。
やっぱmattyaさんと本の話したいですよ(で、スイーツの話もしたいのでした)。

もー、お久しぶりだから嬉しいこと言って下さるんだからして~。
「読みたいな」って思ってもらえる文を書けるようになりたいものですが、なかなかそうはいかないですよね・・・。
そういう意味ではホントに、プロのもの書きさんてすごい。スバラシイ。

寒いとついおうちでヌクヌク・・・にはしってしまいますよね。
もしかして、mattyaさんのおうちっておコタがあったり?
「のだめ」にも出てくるけれど、おコタに入ってしまうと出られないみたいですね。
うちには幸か不幸かないのですが・・・それでも出不精してますが。
ここのところ、ちょっと傾向が似てるかなという感じのする森見さんの作品を読むことが多くて、すごく上り調子の森見さんと比べて伊坂さん影薄くなったかなぁ、なんて思っていたけれど、「ゴールデンスランバー」はリキ入ってたな、って感じです!
mattyaさんも是非感想聞かせて下さいね~(^^)
  1. 2008/02/04(月) 21:01:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
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No title

出遅れました。。。

いやー、楽しんでいただけたようでよかったです!
mattyaさんもおっしゃっている通り、
Mikiさんネタバレせずに上手に紹介されていますよねーー。
思わず私もまた読みたくなっちゃいましたよ。
そして自分の書いたゴールデンスランバーの記事を見てみたら…
なんじゃこりゃ…とその差に愕然。(笑)
あまりの拙さにびっくりしました。まあいつものことなんですけど。

死神の精度はずいぶん前に予告編を映画館で見ました。
雨降りでね、もう雰囲気バッチリですね!すごい期待したくなっちゃいます~♪
  1. 2008/02/06(水) 13:57:00 |
  2. URL |
  3. yurinippo #79D/WHSg
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No title

「ゴールデン・スランバー」・・・ビートルズの曲かと思いました。読んでみたくなりました。・・・きっと、読みます。
  1. 2008/02/06(水) 19:01:00 |
  2. URL |
  3. barnes_and_noble #79D/WHSg
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No title

◈yuriさん、
おなかの具合はいかがですか。
(昨日でしたか、yuriさんところのコブタちゃんをクリックしたら、とことこ寄って来て、
「お腹ー!」って言いました。賢いですねー。
カワイイので、何度も「ページ更新」して何を言うか見ちゃいました。やたらとページ・ビューを増やしてたのはワタシです。)

私はyuriさんの感想文を読んで「読みたいっ!」と思ったんですよぅ。
私のはただ長いだけって感じもします。
でも、あちこちの読書ブログを拝見していると、私のの5倍ぐらい長いのなんかもありますよね。(だから長くても許して、と言いたい・・・。)

「ゴールデンスランバー」も、映画化を意識してるのでは、とチラリと思うところも実はあった気が。考えすぎでしょうか。

数日中にお返し致しますね。
どうもありがとうございました<(_ _)>
  1. 2008/02/06(水) 22:32:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
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No title

◈barnesさん、
あ、ビートルズの曲です、「ゴールデンスランバー」。
何度も引用されていて、すでに心はバラバラになっていたビートルズのアルバムを編むためにポール・マッカートニーがいかに苦労したか、という話も出てきました。
私は音楽に疎いので知らなかった話でしたが・・・。

「ゴールデンスランバー」で、楽しい読書タイムをどうぞ?
  1. 2008/02/06(水) 22:35:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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