本と旅とそれから 夏の庭 -The Friends-/湯本香樹実

本と旅とそれから

夏の庭 -The Friends-/湯本香樹実


よしりんさんが「泣けました」とコメント下さったこの1冊(鍵コメだったんですが)。

大人の「泣く」なので、必ずしも涙ポタポタじゃないかも、ですね。しみじみタメイキ+じんわり(「うるうる」の半歩手前ぐらい?)、でも「泣く」って言っていいですよね――と、勝手に解釈すれば、私も「夏の庭」読んで泣きました。

夏の庭 -The Friends-/湯本香樹実(新潮文庫)

今回は、小学校六年生の少年たち3人が主人公。
作者は女性だから、自分の思い出をベースにするだけでは不足だったことでしょう。身近な少年をモデルにしたのか、思い出の中の男の子友だちがモデルとなったのかはわかりませんが、違和感もなく、すんなりと読めた「男の子たちの物語」でした。

初めて人の「死」を身近に体験した時の、単なる悲しみを超えた、何と表現したらよいのかわからない、感慨のような感覚。
最終的にはそれを描くために、やがてそれを教えてくれることになるおじいさんと少年たちとの交流が綴られています。

「だってオレたち、あの世に知り合いがいるんだ。それってすごい心強くないか!」

最後に少年のひとりが言います。
実は彼らは、それまでオバケが怖くてひとりでトイレに行けなかったのです!
でも、これからはそうじゃない――彼らは頷いて、そして卒業し、離れ離れになっていきます。

この感覚――あの世に知り合いがいる。
私もそうだけれど、もしかすると、これは親しい人の死を経験した誰もが抱くものではないでしょうか。
ただ失ってしまったと思うのが、あまりにつらく寂しいからかも知れません。星になって見守っている、風になっていつも近くにいる・・・そんなふうに思う気持ちと同じかも。

そういう経験を重ねていくことも、大人になるということの一部なんでしょうね。
・・・こういう切なさって、実は私は苦手なんです。
でも、この作品では、それがあまり強調されることもなく、ある夏の思い出、といったほどのノスタルジックな物語として語られています。

夏とか、夏休みとかって、学生時代の象徴みたいなところありませんか。
それが遠くなってから振り返れば、大抵の思い出はただただ懐かしいものになっているけれど、その中にところどころ、セピアがからずに残っている出来事がある。
そんな出来事のひとつを描いた本かと。

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  1. 2008/02/29(金) 20:02:00|
  2. 2008
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この本、本棚の「西の魔女が死んだ」の隣にあるんです。どちらにも同じような年ごろの子の独特な空気が流れています。読み終えた時、本当にいい本に出会えたと思いました。
  1. 2008/02/29(金) 20:14:00 |
  2. URL |
  3. barnes_and_noble #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

◈barnesさん、
「西の魔女」、barnesさんに映画化のことを教えて頂いてから、「読まねばっ!」という思いがつのっております。
しかし、図書館からはまたも「予約本、ご用意できました~」のTelが・・・。
やはり私は、本読みライフ「だけ」は忙しいです。
  1. 2008/02/29(金) 20:22:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

春休み、夏休み、冬休み、欲しいです!
心底、心から、命賭けて、欲しいです!
図工、音楽、体育、道徳、国語、運動会‥
今、私もそういうのに仕事として取り組みたい!
ああ、小学生に戻りたいですよぅ~
  1. 2008/02/29(金) 21:15:00 |
  2. URL |
  3. 花侍 #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

◈花侍さん、
お忙しそうですねぇ、花侍師匠。
いつもパワフルでお見事です。
私は図工、体育、道徳、運動会は苦手でしたが。
音楽、国語ぐらいは何とかなるかなぁ。
  1. 2008/02/29(金) 21:43:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

正に「じんわり」と泣けた本でした。
身近な人の死は乗り越えるのに時間を要しますが、いつもそばで笑顔で見守っていてくれると思えるようになると、心が少しずつ落ち着いてきます。

「泣く」って、悲しいばかりでなく、いい事みたいですね。
泣いたあとは何故かすっきり。
じんわりと泣かせてくれるこの本は、ほんといい本だと思います。
映画「スタンド・バイ・ミー」ともどこか共通しているものを感じました。

二度と戻らない少年の日・・・。
  1. 2008/03/01(土) 22:58:00 |
  2. URL |
  3. よしりん #79D/WHSg
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No title

◈よしりんさん、
すがすがしい雰囲気の作品でした。
おすすめ下さってどうもありがとうございます。

「少年たち」、「夏休み」、「死」といった要素が、確かに「スタンド・バイ・ミー」と共通ですね。
あれ、スティーブン・キングの原作はどんな感じなんでしょうね~。
身近な人の死というと、いつも思い出すのがTV版「大草原の小さな家」のいちエピソード。
自分がもう間もなく死ぬと知ったとある母親が、残される子供たちに残す言葉なのですが、
「私を思い出す時に泣かないで下さい、どうしても泣かずにいられないのならば、私のことを忘れて下さい」というもので、その言葉に泣かされました。
  1. 2008/03/02(日) 21:28:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
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