本と旅とそれから 陰翳礼賛/谷崎潤一郎

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陰翳礼賛/谷崎潤一郎


gvillaちゃんが「何となく」、私が好むのじゃなかろうか、と思われたというこの本。
年の初めに「今年は古典を読もう!」などと思った私はどこ行った。
もう8月ぢゃないか?

と、とりあえず1冊。
陰翳礼賛/谷崎潤一郎(中公文庫)

ばななさんに「谷崎の『陰翳礼賛』読んでます」と言ったら、「ボクはトイレの話がいいかな」なんておっしゃってたけど、ホントだよ。トイレの話が印象的だ。

にしても、これって「古典だ」、「谷崎だ」と思って厳粛な気持ちで読めばそれなりですが、ふとリラックスして読めば、なんか結構笑えるですワ。


まことに厠は虫の音によく、鳥の声によく、月夜にもまたふさわしく、四季おりおりの物のあわれを味わうのに最も適した場所であって・・・

日本の建築の中で一番風流な場所なのですって。
ぼっとんトイレが、ですね(徹底的に清潔な場合に限り、ですが)。

いやでも、そうちゃかした読み方ばかりするものでもございません。

羊羹のあの色。漆器のあの色。真っ白けに塗る昔の人の化粧。それは全部、ほの暗い行灯や蝋燭の明かりを前提にしているのだ、と。
そのほの暗さの中においてこそ、それは異様なほどに美しいのだ、と。
へぇぇ。

不思議な気がするのは、今はかえって、洋風のホテルの方が間接照明で暗めだし、使っている灯りの色も、欧米のものはオレンジ色で、日本は蛍光灯の白っぽいものだったりすること。

吉行淳之介氏が巻末解説でもちらりと書いておられるように、大方は「慣れ」なんでしょうね。
ただ、ちょっとゾクりと怖いのは、谷崎御大が、その暗さ明るさの伝統を作り上げた要素のひとつに、東西の人々の肌の色合いの違いを挙げていること。

そして、どう覆い隠そうとしても、あるいは違う肌色の血が混じって数代を経ていても、その暗い肌色の翳を、白人は必ず見分けてしまう・・・という一節。

そんなものでしょうか。
それが真実なら、人種差別をなくすことなんてできるのかしら・・・。

それはともかく。
gvillaちゃんはかなり当たってました。
「好き」というのはちょっと違うかも知れないけど、ひじょ~~に興味深く読みました。

なんかね、最近、写真を撮る時に思いますもの。
明るいばっかりの写真ってなんかつまんない、と。
今までは、Photoshopを使ってすぐに明るくしちゃってましたが、最近はむしろ暗くしてます。
「百年早い」と突っ込まれることを覚悟で敢えて言えば、やっぱり、光よりむしろ翳(影)をうまくとらえる写真を目指したいなぁ、と思うこの頃なのでした。




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  1. 2008/08/09(土) 13:16:00|
  2. 2008
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No title

あははは。なんだかんだとこじつけて(谷崎さん、失礼!!)陰翳を礼賛してはりますが、その表現がいちいち大仰で面白いです。
なんか、清少納言の枕草子の書き方とたぶるんですが…

羊羹の色合いを褒め称え、西洋のクリームを「クリームなどはあれに比べると何と云う浅はかさ、単純さであろう。」と切って捨てるあたりも面白いし、「たまり醤油」を大絶賛のくだりも思わず笑ってしまいます。

こんだけ、陰翳についてあつく語る谷崎ですが、実際は明るい部屋を好んだらしいですよ(笑)

谷崎絡みで、ひとつTBさせてもらいます。
  1. 2008/08/09(土) 20:38:00 |
  2. URL |
  3. bananan_bou #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

◈ばななさん、
あぁぁ・・・暑いのを口実にちょっとビールを飲みすぎちゃいました。
で、「ねむいゾ・・・ねむいのダ・・・」と思いつつ「送信」ボタンを押してしばらくぼーーーーとしてまして、ハッ!と顔を上げたら、ばななさんのコメント&トラバを頂いてました。
どうもありがとう^^

で・・・えぇぇっ!
トラバ先に飛んで行ってみて大興奮!
なになになになに?谷崎の家(しかも「細雪」の・・・)なんて残っているんだ?
やだ~~、めっちゃくちゃ行きたい!
もう、秋に京都に行く時、絶対足をのばします。土日だけなのか。な、なるほど。
わーん、スバラシい情報をありがとうございます。

解説の吉行氏は「それだけじゃない」と言っておられるけど、かなりの部分「年配のヒトの文句タラタラ」な感じしませんか・・・^^;
・・・うん、それでも頷ける箇所は多いんだけど・・・。
「電車の中で車両を移動するヒトは、間のドアをちゃんと閉めろよ~~!」・・・とかっ♪
(あ、これは別の随筆か。)
  1. 2008/08/09(土) 20:58:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

偶然ですが、私も今、手元に「陰翳礼賛」を引き寄せて、読み始めようとしていたとこでした。
ばななさんの「谷崎潤一郎旧邸・倚松庵」、いいですね~。
機会があれば、私も行ってみたいです。
ここがあの「細雪」の舞台になった所ですか。
華やかな世界が似合う谷崎のお墓は、意外とシンプルなので驚きました。
結構、まともな感覚の人だったのではと、法然院の墓地で思いました。
  1. 2008/08/09(土) 23:15:00 |
  2. URL |
  3. よしりん #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

東京に住んでいたころ、小金井公園あたりをよく自転車に乗っていて、夕刻に外国人の住む家の窓に映る明かりは赤っぽいと気づきました。
日本人の家の窓明かりは白っぽい。
蛍光灯の明かりなのか。
こちらの家では天井から部屋全体をまんべんなく照らすのではなく、部屋のあちこちで小さな明かりを点すのが一般的なのではないかしら。

谷崎潤一郎は友人から譲られた本のうちにあって初めて読みましたが、古典文学という観念があったのに、実際に読んだら失礼な言い方かもしれないけど、けっこう下世話じゃないかと思いました。
作品によって違うのだろうか・・・?
  1. 2008/08/10(日) 00:03:00 |
  2. URL |
  3. ymomen #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

楽しんでいただけたなら何よりです。

この本を読んでいると、
「薄暗さをこうやって楽しむ人もいるんだ。ふむふむ。」
「薄暗いから美しく見えるって言われて喜ぶ女性はいないよ!」
と関心と突っ込みがたくさんありますよね。
でも、こういう風に暗いなかの一筋の光とかに「美」を感じて楽しめる人ばっかだといいのですが、そういう家で暮らしてきた人の大半が、「暗い家」がコンプレックスになっているのはあるんですよね。

ちなみに現在「ホンモノの日本語を話していますか?」っていう本を読んでます。
(母親にこれでも読み!と渡されましたの。。。どういう意味なんだ!?笑)
この本は日本語の回りくどさの中の気遣いのすばらしさ!みたいなのが書かれているのですが、日本をつくっているものって正に「わび」「さび」ですね。。。。
  1. 2008/08/10(日) 13:25:00 |
  2. URL |
  3. gvilla #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

◈よしりんさん、
わ~、ホントですか、偶然ですね♪
倚松庵、素敵ですよねぇ。「細雪」は4、5回読んだ好きな作品なので、是非行ってみたいと思います。
谷崎のお墓って、最近はずい分綺麗に手入れされているけれど、大昔に初めて訪れた時は、なんだかパッとしないとこだった記憶があります。
数年前に、「細雪」のお春のモデルになった谷崎家のメイドに宛てた谷崎の書簡が見つかった、というニュースが報じられた時、その手紙を読みましたけど、とっても良識的で思いやりもある手紙でした。
耽美派、というとついアヤシイ人間をイメージしちゃいますけど、結構「ふつうの、文句たれ」のおじーちゃんだったんでしょうか。
  1. 2008/08/10(日) 16:04:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

◈もめんさん、
小金井公園・・・というと、現在江戸東京たてもの園のあるあの辺りでしょうか。
あの辺にお住まいだったのですね。

初めてNYに行った時、摩天楼の夜景を見て、「NYの夜景は、色(オレンジ)も違えば展開方向(垂直)も違うなぁ!」と感心したのをよく覚えています。

日本でも、今ではホテルは大抵間接照明ですよね。
本を読んだり何かを書いたりしようとすると、ちょっと目が悪くなりそうな気がしますが・・・。

私も谷崎は好きだと言いつつさほど読んでいないのですが、もしかして、いわゆる古典(というか、近世モノですけど)の中では読みやすい部類なのでしょうか、他の作家のものと比べると親しみやすい気がします。
これを機に、もう少し読んでみようと思います。
  1. 2008/08/10(日) 16:11:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

◈gvillaちゃん、
gvillaちゃんにきっかけをもらえて嬉しかったです。ありがとー^^
(そうじゃなかったら、まだ数年は読んでなかったかも~。)

きっと、gvillaちゃんが保存の仕事をされている対象の古いおうちなどは、みんなこうした薄暗さを持っているんだろうなぁ。
大体、「細雪」の中でも、鶴子の暮らす本家の屋敷は、古くて暗いので雪子や妙子は嫌がる、っていうくだりがあったよね。
今はそういう家屋が少なくなってきたからこそ、ありがたみが増してきたという側面はあると思うのでした。

しかし、日本女性を褒めているのかけなしているのかわからないあの「暗がりのなかでこそ美しい」の一節は、いかにも耽美主義の作家だよね。
何はどうあれ、自分が美しいと思えばそれでいーんだ、みたいな。

日本語の回りくどさの中の気遣いのすばらしさ・・・かぁ。
面倒くさい、とか言ってちゃ日本語の伝統がすたれてしまうのね。まあそうだろう・・・。
そこで「わび」「さび」が出てくるの?また教えてちょ。
  1. 2008/08/10(日) 16:26:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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