本と旅とそれから The Amber Spyglass(琥珀の望遠鏡)/         Philip Pullman

本と旅とそれから

The Amber Spyglass(琥珀の望遠鏡)/         Philip Pullman


三部作完結篇。
しっかし・・・何とも切ないラストだなぁ。
ほとんど、「タイタニック」か「マディソン郡の橋」・・・(T_T)。

The Amber Spyglass(His Dark Materials, Book3)/Philip Pullman(Dell Laurel-Leaf)
邦題:琥珀の望遠鏡―ライラの冒険(3)
/フィリップ・プルマン


最終巻は、三冊中一番分厚くて、内容的にも盛りだくさん。
テーマは・・・やっぱ、愛と死?

梨木さんの「西の魔女が死んだ」(たぶん「裏庭」も)や、湯本さんの「夏の庭」を読んだとき、亡くなった人は、残された人がある限り消滅しない、というメッセージを強く感じました。
残された人間は、それを「魂」と言ったり「風になった」と歌ったりするわけですが、最初から最後まで少々理屈っぽい雰囲気を貫いた「ライラの冒険」では、それが「解き放たれた分子(という訳じゃあないだろうけど・・・)」と説明されます。

表現はどうあれ、人というのは、自分の愛した・愛された人を、まったくの「無」にしてしまうことには耐えられない生き物なんですね。


以下、全般的にネタバレです。



ウィルの父も、Mr.Scoresbyも、幽霊となった後までも、愛するウィルとライラのために戦う。
まーったく理解不能な行動ばかりだったライラの両親も、最後にはライラのために自分たちの身を犠牲にする。
Mrs.Coulter・・・と、あのいけすかない金色のサル(結局名前出てこなかったなぁ)の場合、最後にああいう行動に出るとは、すごく意外でした。

まあ、そういう一貫性のないところが人間らしいといえばそうかも知れません。
そういえばでも、天使のBalthamosもすごく人間くさかった。彼がウィルとライラのために戦って命を落としたことを、当の二人が知ることは永遠にないだろうけど、そうして戦ったことで、彼もようやく愛するBaruchのもとへ、晴れて旅立つことができた、のか、な。

最終巻は、特に後半、胸に迫るシーンが目白押しです。
ライラとパンタライモンの別れ、ライラの両親と天使の死闘、最初はイヤなヤツかと思っていたけど実は高貴な魂の持ち主だった小さなスパイたち(ちょっとミクロイドSみたい)の最期、死者たちの解放、そしてオーラスの、ウィルとライラ別れの場。

二人の結論、これが、全然「子どもの下す判断」じゃあないんですね。
子どもが、「10年なんてあっという間だ」なんて思わないもの。
10年後の別れをむかえないために、そして、あらゆる死者の解放のために、目の前の大きな幸せを諦める――できないでしょー、ふつう、大人にだって。

毎年夏至の日の正午に、1時間だけこのベンチに座りましょう・・・
って、もう、泣かせる(T_T)(T_T)(T_T)。

口が達者でこましゃくれたガキん子だったライラが、こんなことを言うようになるとは。
読み終えて、しばらくはしみじみ感に浸ってしまいました。




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tag: 洋書 
  1. 2008/09/04(木) 21:10:00|
  2. 2008
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No title

こんにちは。
ライラシリーズ、ハードカバーでずいぶん前に読んだ気がします。ちょうど、ハリーポッ○ーの何冊目かが発売になって、こっちの方が面白いって、コメントを何かで見たので。
私はどっちも好きなんですが・・。

「毎年夏至の日の正午に、1時間だけこのベンチに座りましょう・・・」って覚えてます!。
読んだあと、この一時間は長く感じるのか、短く感じるのか?って。
しんみりした読後感でした。



  1. 2008/09/04(木) 21:42:00 |
  2. URL |
  3. 櫻東風 #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

◈櫻東風さん、
再び、ようこそ♪
(しかも今回はURL付き~。しっかりお邪魔しちゃいましたですよー。)
ライラシリーズ、何だかノロノロと読んでしまいましたが、ようやく完結しました!
ハリポタは図書館から借りて読んだので、期限があって結構早く読んだんですけどねー。
あのシリーズは、「アズカバン(3巻目だったかな?)」がダントツで一番好きです。
最終巻も結構よかったけど・・・。

ラスト、ああいう雰囲気で終わるとは予想していませんでした。
オックスフォードの植物園のそのベンチってホントにあるのかなー。
・・・あったら、夏至の日の正午は人だかりでしょうか。
って、俗っぽいこと考えるワタシがイヤ(T_T)
  1. 2008/09/04(木) 22:16:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

せつない物語って、胸がキュンと苦しくなりますね。
でも、いつまでも、せつない気持ちが痛いほどわかる大人でいたいなあ。

最近、デパートや電車や健康ランドで「オバタリアン」研究を始めた私は思うのです。
オバタリアンにならないためには、謙虚さと、せつなさのわかる感性が必要と。

  1. 2008/09/04(木) 23:16:00 |
  2. URL |
  3. よしりん #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

あぁ、そうでしたねぇーあのラストはなんだか切なかったですねぇ~
こういう分かれ方って大人っぽいともいえるし子供らしいとも言えるかもしれませんね。
大人になったら同じ時間に同時に月を見ようなんていったらすごくクサイけど、子供同士が言ってたらすごく微笑ましいですしね。
あーなんかまた読みたくなってきました。

ゴールデンモンキーってやっぱり名前でてこないですよね??
あれ?出てきたかな。チラっと出てきたと言われればそんな気もするし、出てこなかったと言われれば、でしょでしょ?って感じなんですが、覚えてないのでやっぱり出てこなかったのかな・・・・。
あのずるがしこさはすごいですよね。

なんだかもっともっとMikiさんと語りたいですが、送信できないと困るのでこの辺で・・・
  1. 2008/09/04(木) 23:22:00 |
  2. URL |
  3. lazybug #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

◈よしりんさん、
切ない気持ち・・・ですか。
ワタシなんかだと、割と仕掛け人の術中にハマりやすいようで、「はいっ、ここらで胸キュンでお願いしまーす」みたいな表現があると、まんまと(T_T)マーク乱発しちゃいますねぇ。
「マディソン郡」なんて、もうボロ泣きしちゃいましたよ。

「オバタリアン研究」!
実はそれでマジに博士号を狙っておられたりして・・・。
ここのところ、電車内での席取り合戦に連敗中の私は、その点「だけ」はオバタリアンの資格はないかも。
ま、でも、「よっこらしょ」系では資格大有り・・・。
  1. 2008/09/05(金) 20:50:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

◈Ayakoさん、
>大人になったら同じ時間に同時に月を見ようなんていったらすごくクサイけど
いや、ふつうの状態ならそうでしょうが、恋愛真っ只中の場合は、大人だろーがどんなクサイ台詞も真顔で言えてしまうのでは?
(私かつて、とあるレストランの隣りのテーブルで、お若い男性が大真面目に、向かいに座った女性に「キミの瞳に乾杯」とグラスを掲げるのを目撃したことあります。)

お父さんの方の雪ヒョウは名前出てきましたけどね(すでに忘れているけど)。
でも、あの憎たらしいサルも、最後は天使と取っ組み合ったまま奈落の底へと落ちて行くのですねぇ。あ、デーモンは途中で消滅するのか。
Ayakoさんが感想文で書いておられたように、児童書と呼ぶには、驚くほどたくさん人が死ぬんですよねー、これ。
それにしても、映画ではどんな少年がウィルを演じるんですかねー。
早く2作目、来ないかな。
  1. 2008/09/05(金) 20:58:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
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