本と旅とそれから 食堂かたつむり/小川糸

本と旅とそれから

食堂かたつむり/小川糸

素敵な本だった~~!
いろいろな意味で。

本を読んでいてこれだけ明るく充実した気分になったのは、久しぶり。

ネタバレありますので、ご注意を。


食堂かたつむり/小川糸(ポプラ社)

これまた延々と待ったあげく、図書館から「用意できました」と連絡をもらった時には正直、「あっれー、この本って、そもそも何で予約入れたんだっけ?」と思ったものでした。

「かもめ食堂」という映画と、その原作の本があります。
タイトルも何だか似てますが、雰囲気も、特に「食堂かたつむり」の前半と似ています。


「かもめ」の映画を見た後は、シナモンロールとか、香りのよいコーヒーとか、食べたくてたまらなくなったでしょ。
「かたつむり」には、特に何度も出てくるお料理はありませんが、食材や調理器具に寄せる主人公・りんごの思いとか、手間を惜しむということのないそのお料理の様子などには、美味しいものを作る、ということが、いかに人を幸せにするか、という共通のテーマが見られます。

一日一組の予約のお客さまだけ。
しかも、事前に入念なヒアリングをして、料理人(=主人公)が、あらゆる面からその時のその人に最もふさわしいと思われる料理を作る。
――究極の食堂ですよねぇ。

「かもめ」の、いきなり宝くじが当たって食堂開設資金が転がり込むっていうシチュエーションも「ありえん」と思ったけど、「かたつむり」の主人公のスーパー料理人ぶりも、実は「ありえん」って感じ。・・・なんですが、まあこの際、いいや。

ザクロカレー、食べたいよぅ。

そして後半は、母と娘の物語、加えて「受け継がれる命」とでもいうべき、大きなテーマでお話が展開していきます。

ずっと大切に世話をし、妹みたいな気にすらなってきていたブタのエルメス。
訳あって、このエルメスを殺し、食べるということになります。その一部始終と、そこにオーバーラップする母への思い。

すごく胸に迫るんです。・・・迫るんですが、
「エルメスはそのまま静かになり、帰らぬ豚となった」という一文で「ぶーーっっ!」と吹き出したアタシって、やっぱり薄情っていうか、デリカシーない女でしょうかね・・・。

ぎくしゃくした関係が長年続いた母娘。
あんな母がイヤだった、こういうところがやりきれない、そんなネガティブな思いばかりを母に対して感じていた娘・主人公。
でも、その母は、実は娘には思いも及ばぬでっかい魂を持っていた。

ふと思えば、全編が、料理や食べ物を小道具としたフェアリーテールのようですらあります。
(版元がポプラ社っていうのも・・・あたしゃ、児童書の出版社だとばかり思ってました。)

そしてフェアリーテールというものは美しい。「かたつむり」もまた然り。
清々しい光にあふれる、美しいエンディングの物語でした。


webcitron01.gif


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tag: 小川糸 
  1. 2008/11/15(土) 10:41:00|
  2. 2008
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No title

そうでした!barnesさんのところで拝見して、
私も読みたかったので予約を入れたのでした!!
Mikiさんすばらしい記憶力ですねー。
(でも、私の所へはまだ図書館から回ってこない…)
あー、やっぱりこれ、私のすごく好きそうな本です。
ネタばれの所を見ないように我慢するのが大変です。
早く回ってこないかなー。
  1. 2008/11/15(土) 16:49:00 |
  2. URL |
  3. yurinippo #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

ふむふむ。

>本を読んでいてこれだけ明るく充実した気分になったのは、久しぶり。

そんな本ってなかなか出会えないですよね。
こりゃ、また読まなあかんリストに入れとかな。
もう読みたい本がたまりまくってます(笑)
  1. 2008/11/15(土) 20:58:00 |
  2. URL |
  3. bananan_bou #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

To yuriさん、
へへ~^^
幼なじみの「健忘」クンとか、寄る年波現象など、ワタシと「記憶」の間を隔てる壁や距離はバカにならないものがありますが、それでもしぶとく残るものもあったり♪
都合の悪い物事は忘れる、というウワサもあったり・・・。

yuriさん、お好きそうな本ですよー、これ。
「かもめ食堂」とか、「からくりからくさ」とか好きな人なら、きっと好き。
毎朝、天然酵母を使ってブタのためにパン(どんぐり入り)を焼くっていうくだりがあって・・・王侯貴族ブタか!と、激しい嫉妬を感じました。
早く回ってくるといいですのぅ。
  1. 2008/11/15(土) 21:28:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

To ばななさん、
結局、私も「ガリレオの苦悩」、予約入れてみました。
それの予約待ち人数が少し減ったら、「聖女のなんちゃら」の方も予約しようと思います。
タコさん(仲良し本読みブロガーさん)のブログで取上げられていた京都本は、Amazonのマーケットプレイスで注文しちゃったし。
ブログやっていると、ホントに次から次へと読みたい本が見つかっちゃいますね。
「嬉しい悲鳴」などとよく言うけれど、嬉しくても、やっぱ悲鳴は悲鳴っすね!^^
  1. 2008/11/15(土) 21:31:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

「かもめ食堂」は大好きな映画です。
美味しいものが人を幸せにする、という話がいいんですよね!台所は、素敵な場所♪
前から気になっていたこの本、ついに予約! 400件以上待ちがあるのですが~(泣)
「ナマの京都」、今日読んじゃいました。電車の中で。笑いをこらえてヘンな顔をしていたので、
隣の人は薄気味が悪かったかもしれません。トホホ
  1. 2008/11/15(土) 22:55:00 |
  2. URL |
  3. たこΩ #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

To たこさん、
(「タコ」さんじゃなくて「たこ」さんでしたね~。やっぱりちょっと違いますよねぇ。)

よよよっ、よんしゃくにんっ?!
そりゃたこさん、人類の図書館予約待ち史上、燦然と輝く金字塔かも・・・。
すごいなー。複本何冊くらいあるのかなぁ。10冊あったって40人待ちだ。
「ナマの京都」、ワタシも今日届いたので、読んじゃいました!
半分はマンガなんですね(字が多いマンガだけど・・・)。すぐ読めちゃう。
「しぶちん」も明日には来ると思います。
確かに、電車の中ではキケンですね――マスクでもして読むか・・・(やはりアヤシイ)。
  1. 2008/11/16(日) 21:16:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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