本と旅とそれから ひかりの剣/海堂尊

本と旅とそれから

ひかりの剣/海堂尊

んも~、こんなタイトルじゃ、剣豪小説かと思うじゃないですかー(ちなみに私は、そのテの小説も嫌いではありまへん)。
といっても海堂さんのことだ、「ひかりの剣」とはおそらくメスのことでしょう。
きらめくメスを振るって病に立ち向かう外科医たちの姿を描いた小説に違いない!

・・・と、思っていたら。


ひかりの剣/海堂尊(文藝春秋)

ホントに剣豪小説だったんで驚いたなぁ、もう。
・・・といっても、現代バージョンですけど。そして、主人公たちの属性は、やっぱり「医師」なんですけどね。

時期的には、「ブラックペアン1988」とかぶる物語で、登場人物もしかり。
特にDr.高階、ここでもいいとこ持ってってます。

他の海堂作品を知らずにいきなりこれを読んだら、「なに、この作家。カッコつけすぎじゃないの~?」と、思ってしまったかも。
でも、さすがにデビュー作からずっと追いかけてきて「ひかりの剣」に至ると、海堂尊という作家さんのそういう傾向もお馴染みになってしまって、「あ、まただ^^」な、感じ。


その時、道場の暗闇の中に、一条の光が差しこんできた。道場の扉が開いたのだろうか。
塚本は光に向かって、顔を向けた。
朝の光を背負った人影が現れた。塚本は目を細めて凝視する。
「塚本、わりい。待たせたな」
影が言った。

(▲)ヒーローその1、清川吾郎。
つい先日、「ジーン・ワルツ」で初めてお会いしたスゴ腕の産婦人科医です。
朝の光を背負って、て、ミラーマンかっ。
洒落モノ、いかにも佐々木小次郎タイプ。


道場の窓の外が急に暗くなった。冷ややかな風が吹きぬけた次の瞬間、白い稲妻が走った。
窓ガラスが鳴る。道場の空気は重い。
速水が言う。「一本勝負、でいいな」

(▲)同その2、速水晃一。
ぐっちーの仲良しだとは俄かには信じられないカリスマ外科医、ジェネラル・ルージュ。
これがまた、絵に描いたような宮本武蔵タイプ。

といっても、二人の名医の学生時代のお話なんですけどね。

最初、武蔵と小次郎が思い浮かぶのは、この本の前に読んだのが同じ吉川英治作品だったからかと思いましたが、別に私だけのことじゃないみたい。
何しろ、最後の決闘では、「小次郎」が燕返しを使います。
さて、現代の武蔵VS小次郎、勝敗は・・・ナイショさ~、もちろん。

余談ですが、文庫版「三国志」には、各巻の最後に著名作家がひと言を寄せているのですが、「三国志」の巻末だっちゅのに、「宮本武蔵」のこと書く人が多い・・・^^;。
まあ確かに、比べたら「宮本武蔵」の方がはるかに迫力は上かも。

この1冊には、プロローグ、エピローグ的なものがついていて、全体の構成がまるで映画作品みたいな感じになってます。
後世に名を残す二人の剣豪の、若き日の活躍を描く、なんちて。
もちろん、どちらの剣豪も途中で竹刀をメスに持ち替えるわけですが。

動と静、火と水、陰と陽・・・と、敢えて対照的なところを際立たせて描かれていますが、要するに、海堂さんのヒーロー像なんですね、どちらも。
大人の男性を描写するのに、よく「いくつになっても少年の心を失わない」という表現が使われますが、それかしら?て感じがします。
海堂さんの中の、サムライに憧れる少年全開で書かれた物語、じゃないかと。

あ、書き忘れていたけど、すっごく面白かったです。

昨今人気のメディカルものがあんまり好きじゃない方も、この1冊は楽しめる・・・と思うものの、やっぱりこれをホントに楽しもうと思ったら、「後の主人公たち」の姿を先に見ておかなくちゃね。

そんなこんなでほとんど忘れられかけている元祖ヒーロー・コンビ、ぐっちー&白鳥が再登場する次作、予約の順番があと少しなのです。楽しみ^^


webcitron01.gif


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tag: 海堂尊 
  1. 2009/02/05(木) 20:48:00|
  2. 2009
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コメント

No title

こんばんは~。
あいかわらず、読書に励んではりますね~。
ぼくはすっかりさぼってます。
が、昨晩からやっと「夜は短し-」を読み始めました!!
面白い本は、読み始めると止まりません。多分今晩で読み終わるかも(笑)
前にも言ったかもしれませんが、海堂尊さんの本、次読むぞリストに入れてますよー
面白そう!!
  1. 2009/02/05(木) 21:06:00 |
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  3. bananan_bou #79D/WHSg
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No title

To ばななさん、
もしかすると、今、本読みドライブかかってるかも、です、ワタクシ!
それにしても、「鹿男あをによし」でもそうでしたが、剣道というのはドラマを盛り上げるファクターだな、と思いました。
少女剣士が活躍する、という点では、2作は共通しております。

海堂さんの作品、きっとばななさんも気に入ると思うな^^
作品によって多少のテンポやトーンの差はありますが、どれも読ませます。
「夜は短し」」、んふふ、手を付けられましたか。
最後の2ページがなかなかよい1冊ですのぅ、アレ♪
  1. 2009/02/05(木) 21:15:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
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No title

今日から「ジェネラル・ルージュの凱旋」に着手するところ。「ひかりの剣」にたどり着くのは、いつになることやら。だから、記事を詳しくは読まないことにしましょう。
  1. 2009/02/05(木) 21:55:00 |
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  3. barnes_and_noble #79D/WHSg
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No title

こんばんは!
こちらにお邪魔するのも一年ぶりになりますね。
ちょっと緊張しつつ^^;

海堂さんの作品は「チームバチスタ」しか読んでないのですが
かなり面白かったので作品を全部読みたいなと思ってるんです。
図書館では借りられっぱなしで惨敗中で…。
こちらも面白そうですね。
海堂さんは医療知識が豊富でなくてもその世界に引き込まれるお話を書くのが
上手い作家さんじゃないかなって思ってます。
旅行のおともにまた何冊か揃えてみようと思ってますv
  1. 2009/02/05(木) 22:04:00 |
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  3. mattya-genmaitya #79D/WHSg
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No title

To barnesさん、
「ジェネラル・ルージュ」では、Dr.速水が、自分の口に、看護士さんから借りたルージュを塗って、てとこがあるのですが、それがどーも「ヘンじゃない?」と、思えました。

>記事を詳しくは読まないことにしましょう

やっぱし?^^;
いつか読んで下さいまし――て、忘れちゃいそうですが~。
  1. 2009/02/06(金) 22:16:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
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No title

To mattyaさん、

>ちょっと緊張しつつ

「無理もありませんね。私ってよく、『近寄りがたいほどの気品のあるヒトだから』って言われるんですよ・・・」
・・・とか書いてみたいってばーーーっ(T_T)。
でぇぇい、とにかく、またmattyaさんからコメント頂けて、とっても嬉しゅうございます。
アナタは私にとって得難い「本格派本読みブロガー」のお友だち。
ささ、どうぞこちらへ・・・(←座布団すすめたつもり)。

私も、海堂さんの本は手にするまでにいつもエラく待たされます。
2作目もまた映画化されるらしいですね。だから文庫が出たのかなー。

またいつでもいらしてちょ。
  1. 2009/02/06(金) 22:23:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
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No title

Mikiさん、次々と面白そうな本を読破されていってますね~。
私はMikiさんのお蔭で「夜は短し-」も読めたし、今まで手にしたこともない宮尾登美子さんの「菊亭八百善の人びと」も拝読させていただいています。
「菊亭八百善の-」は、かなり面白く、分厚い小説ながら、寝る間も惜しんで読んでいます。
築地や京都の食材の話、料亭で働く人たちの人間模様、茶道や着物、絵画、焼き物、料理のこと・・・興味のあるテーマが次々出てきて、ぐいぐい引き込まれていきます。
何故この本をMikiさんが私に勧めてくださったのか、わかるような気がして、それもまた嬉しくて・・・。
ありがとうございます!!
  1. 2009/02/07(土) 00:47:00 |
  2. URL |
  3. よしりん #79D/WHSg
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No title

To よしりんさん、
んま、どうされちゃったんですか。
アタクシ、自分が「本読み大明神」にでもなったかと思ってしまいますことよ。
お礼など・・・いや、なんの(←ちょいテレる)。

ひとに本を薦める時って、「これってあの人の好みかなぁ~?」とか、考えますよね。
よしりんさんの場合、「夜は短し~」をお薦めするのはちょっと冒険だった気も。
結果的には楽しんで頂けたようで嬉しかったんですが。
「菊亭八百善~」は、というか、宮尾さんの本については、今ふうの軽快さはないものの、描かれている人物像が気に入って頂けるかな、などと思いまして。
宮尾登美子作品は、「蔵」とか「天涯の花」とか、凛としつつも激しさを持った女性像ていうのが、よしりんさん好みかも~。本を持ってないのでお貸しできないのが残念ですが。
物語とゆかりの場所を訪ねる、なんてのも、なかなかできませんが、好きですよん♪
  1. 2009/02/07(土) 20:17:00 |
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  3. lazyMiki #79D/WHSg
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No title

私は鹿男のすぐ後に、このひかりの剣を読んだので
剣道は奥が深いなーと思いました。
海堂さん、BSの手塚治虫の特集の予告に出ていましたが
ブラックジャックの回で、コメンテータで出演するみたいです。
ちらっと顔を見ました。なるほどこんな人なんだと・・・・
イノセントゲリラを読みました。今回はミステリーじゃないのですが
面白かったですよ。やはりキャラで読ませる人です。
死因不明社会を楽しめたなら、これもいけるかと思います。


  1. 2009/02/07(土) 22:42:00 |
  2. URL |
  3. bullet4071 #79D/WHSg
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No title

To bulletさん、
そうそう!「鹿男」と、剣道シーンがダブりますよね。
作品自体は全然違うものの。

私も、TVで海堂さん見たことあります。
あれは確か、検死件数が少なすぎる、もっとオートプシー・イメージングを活用しろ!という話のニュースだったと思います。
実物の海堂さんは・・・まあ、ふつーのヒトでしたよね~。

「イノセント・ゲリラ」はまだ回ってきませんが、「地球儀」をまだ読んでいなかったので借りました。北方版「水滸伝(超長編~^^;)」と並行して読もうと思います。
  1. 2009/02/08(日) 19:40:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
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No title

楽しみにしていた「ひかりの剣」、ようやく読むことができました^^
私も、「剣」は「メス」のことだと思ってました。
で、表紙をみて「あれれ?」だったのですが半信半疑で…
ホントに「剣道」の話だと知ったのは、このブログだったのです。

さすが海堂尊、やってくれますね。
速水も清川も、このまま剣士になってしまうんじゃないかと思いましたよ。
  1. 2009/04/01(水) 17:38:00 |
  2. URL |
  3. たこΩ #79D/WHSg
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No title

To たこさん、
この表紙、思いっきり剣道ですもんねー。
海堂さんというお方も、もしかして結構ナルシストなとこあるかも、と思いませんか。
きっとチャンドラーとかお好きなんだろうなぁ。

>このまま剣士に

ひゃはは。
でも、医大生の間でのみの争い、っていうところが、彼らの剣道の限界ですかねー。
若き日の、ワイルドな思い出ってことでしょうか。
  1. 2009/04/02(木) 00:18:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
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