本と旅とそれから イノセント・ゲリラの祝祭/海堂尊

本と旅とそれから

イノセント・ゲリラの祝祭/海堂尊

「この物語はフィクションです。実在する人物、団体等とは一切関係ありません。」
とは、昨今大抵の小説の末尾に付け加えてある免責文言ですが、この本ほどこのフレーズが白々しい作品も珍しいかと。


イノセント・ゲリラの祝祭/海堂尊(宝島社)

大学とか医療機関の名前はいいでしょうけど、厚生労働省はやっぱり厚生労働省でしょー・・・。
で、この小説は、厚生労働省でのとある会合の会議を、周辺を少々織り交ぜて描いた物語・・・ていうか、小説版議事録みたいなものなのでした。


そういう内容で1冊書いて読ませてしまうということ自体はさすがなものだと思いますが、でもやっぱりちょっと退屈な面は否めなかったか、と。

また、これは海堂さんのノンフィクション「死因不明社会」(►感想コチラ)の小説バージョンということもできるかと思います。

「死因不明社会」の中で、海堂さんは何度も、「知らないということは罪だ」と繰り返していました。それを読んで私などはちょっと反発を覚え、そんなこと言ったら世の中は罪と罪人だらけじゃないか、と思ったものでした。
「知ってもらうための努力をもっとしてからそういうことを言って欲しい」とも思ったもの。

ある意味、本書は私と同じようなことを思った読者への、海堂さんの応えなのかも。

エーアイのスタンダード化は、医師としての海堂さんのライフワークだと聞いております。
その思いを強力に打ち出した本書。
「死因・・・」でもさかんに語られていた厚生労働省への不満も真っ赤に燃え盛ります。

日本における検死システムの破綻と、それに密接に結びつく医療事故の増加。
その解決の決め手となり得るエーアイの導入を図らないなんて、厚労省のバカタレめがっ!
・・・という、怒りがいっぱいだ。

が、おかげでエンターテイメント性はかなり低下してます^^;
白鳥調査官やらDr.ぐっちーやらが登場するので、面白いことは面白いけど・・・むむ。
映画化はされなさそうだのぅ。

それと、桧山シオンという女性医師の、作中の存在意義が不明。
今後また活躍することがあるのかもとは思いますが、少なくとも本書の中では、単に、一匹オオカミのヒーローには美しい花が寄り添わなくちゃ、て感じの役どころで、ちょっとねー。


webcitron01.gif


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tag: 海堂尊 
  1. 2009/03/05(木) 20:38:00|
  2. 2009
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No title

こんにちは~!
同時期に図書館に予約を入れて、Mikiさんの方が早く手にしたのですね。
どちらが早いかなーと、密かに見守っておったのですよ。。。

もし、海堂さんがこうして伝えてくれなければ、なんのことか分からなかったAI。
世論は地道にAI導入に傾きつつありますよね…
それにしても、「上のひとたち」ってどうして、こうなんでしょう!!

桧山シオン。あの思わせぶりな様子、
きっとまた、海堂さんは登場させることでしょう。 それもまた、楽しみ♪
  1. 2009/03/29(日) 17:26:00 |
  2. URL |
  3. たこΩ #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

To たこさん、
気のせいかもしれませんが、うちの図書館、最近は特定の人気作家さんの本については、複本の数を増やしているのではないかと思うのです!

こないだ、森見さんの新刊の予約を入れたら、予約待ち順位3番でした。
きっと複本がいっぱいあるから、すぐ読めるゾ(^0^)/

ホント、私だってそうです。全然知らなかった、AI(人口知能なら聞いたことあったけど)。
次の作品は、何か、医療事故関連(「ジーン・ワルツ」の続きで)になりそうじゃないですか?
楽しみです。

桧山シオン。出て来そうですね、また。
  1. 2009/03/29(日) 20:00:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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