本と旅とそれから 冷静と情熱のあいだ/江國香織、辻仁成

本と旅とそれから

冷静と情熱のあいだ/江國香織、辻仁成


私はずっとこの本を江國香織さん単独の著作だと思っておりました。
で、彼女のRossoの方を最後まで読んで、その「あとがき」で初めて、同じタイトルのBluという本があって、辻仁成さん、つまり別個の作家さんが書いていて、交代に月刊誌に連載されるという形で出来た物語だと知りました。

珍しいスタイルですね~。


冷静と情熱のあいだ
Rosso/江國香織、Blue/辻仁成
(角川文庫)

どちらを先に読んだ方がよい、どちらの方が自分は好きだ、といった感想をいろいろ拝見しました。私はたまたまRossoを先に読み、・・・そうですねぇ、Rossoの方が好きかな?

ひとつの恋物語を、女性(Rosso)と男性(Blue)の視点から描く、という趣向です。

舞台は、女性の方が主にミラノ、男性の方がフィレンツェと東京。
このイタリアの異国情緒というのも、物語に独特の雰囲気を与えています。

「あおい」という女性は、何となく水を思わせる静かでクールな人物、一方「順正」という男性は、気紛れに燃える炎を思わせる人物――その意味では、このRosso(赤)とBlue(青)という本の色分けは皮肉な感じもします。

若い頃愛し合った男女が別れ、それぞれが独自のパートナーと独自の生活を営み、それは一見申し分ないようでいて二人ともお互いを忘れることができず、8年後、かつての約束を果たしてフィレンツェのドゥオモの頂上で再会する。

・・・大人の童話、とでも呼べそうな物語です。

二人の作家さんの相性が抜群に良かったからこそ出来た企画なんでしょうね~。

実は私にとって、江國さんも辻さんもこれが最初の作品でした。
正直なところ、まだ好きとも嫌いともよくはわからない感じです。
何となく良さそうな感じはするけれど。でも、江國さんの場合は特に、「この作家を好きになれたらいいな」という先入観も我ながらあるようなので、やっぱりよくわかりません。

淡々と綴られるあおいの毎日に、ヨーロッパの古都への憧れがかきたてられます。
あれほどの穏やかで美しい日々をおくりながら、昔の恋人への切ない思いが忘れられず――8年経っても思い出となってくれない鮮やかな記憶。静かながらもドラマチックな人物像です。

再び別れ、あおいは列車に乗り込む。でも最後に順正は、あおいを追ってユーロスターに駆け込む。列車を降りた二人に、どんな物語が待っているのでしょうか。
この部分は辻さんの担当ですが、この結末にしたのは、そうしなかった場合のやるせないラストがたまらなかったからでしょうか。

なんとなく、あおいの方が役者が上な気がしたのでした。




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  1. 2009/03/25(水) 20:38:00|
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コメント

No title

お~!
これ好きです。映画も何度か観ました。

私はこの本をカナダに留学していた時、智恵さんの家で読みましたが、も~~~~~
赤い方投げたろかと思いました;;;大人気ない・・・

今読んだらちょっと違う感情なのかわかりませんが、あの時はぎゃ~っていいながら読んでました(笑)おそらく、ブルー=竹野内豊で読んでるからかもしれません(笑)

っで、どないしても気になって、最後を読んでしまって、ほっとしてからまた読みました。智恵さんに、あかんで~!と怒られましたが・・・・
というぐらい、中に入り込んで読んでしまった本です。

映画では葉加瀬太郎の音楽も素敵で、時々ipodちゃんで聴いています、
  1. 2009/03/25(水) 20:53:00 |
  2. URL |
  3. tomate11 #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

To tomateさん、
やっぱこの作品って、映画のイメージが強いみたいだね~。
画像を取るんでググったら、映画ばっかり出てきたよー。

竹野内豊・・・大変よろしき俳優さんでごじゃりまするね・・・じゅる(をいをい)。
ええ、確かにあのヒトを明確に思い描いて読むと・・・そか。Rosso投げるか。うむ。
しかし、映画(私は全然見てないんだよー)はあれ、あおいが外国の女優さんなんでしょ?

最後を読んで、とな!まあ・・・しかしあれ、辻さん次第ではなかったかも知れない最後の最後の展開ですよね~。
いやー、あの二人はその後どうなるのか。

文字でのみ読んでいても、何だかメロディアスな作品だったように思います。
ヴァイオリンの音色が、確かに似合いそうです~^^
  1. 2009/03/25(水) 21:09:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

Mikiさんの読書ペースは、速いのですねっ!
「冷静と情熱のあいだ」は発売された時に、2冊セットで買ったのにいまだに読んでません。
イヤ、江國さんバージョンを途中まで読んだけれど、って、そのままにされてます。
でも、映画は見ました^^
Mikiさんの記事を読んで、久々に手をとってみようカナと思いマス!
まずは、本の入ったダンボール整理をしないといけません^^;

辻さんは、1冊も読んだことのない作家さんです。
中山美穂さんの旦那さんでしたっけ?
(あ、Mikiさん、ミポリンは知ってますよね?よね?^^)

>「この作家を好きになれたらいいな」
江國さん、わたしもそう思いますーーー!!!
でも、途中で止まったままので、わたしには、なんにも言えませんね┐(´-`)┌
わたしの中では、伊坂さんと恩田陸さんも・・・。


  1. 2009/03/27(金) 16:01:00 |
  2. URL |
  3. noadog #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

No title

To やぎこさん、
いやいや、ふつう・・・よりちょっと遅いぐらいですよー。
ちょっと前に数えたら、1年に・・・えーと、80冊ぐらいだったかなぁ?
しかも、図書館の都合に左右されることが多いのですねえ。
何ヶ月も待った人気本がどかっとまとめて回ってきたりすると、それをすべて2週間の間に読まねばならなくてスピードアップしたり、てことはあります。

おお、さすがに中山美穂さんはビッグネームですから存じております。
それに彼女は女優さん。バラエティ・タレントさんとはちと違うようですし。
(ま、ヒト違いカン違いは得意技なので、エラそなことは言えませんが・・・┐(´-`)┌)

最近は、すでに読み知っている作家さんの新作を読むだけで手いっぱい、なんてことになりかねないので、少し違う人の作品も読みたいよぅ~、と思ってます。
・・・が。
  1. 2009/03/27(金) 23:17:00 |
  2. URL |
  3. lazyMiki #79D/WHSg
  4. [ 編集 ]

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